大気汚染が2型糖尿病の原因に 生活習慣と遺伝因子だけが原因ではない

2016.10.07
第52回欧州糖尿病学会(EASD)

 「在住している地域の大気汚染は、インスリン抵抗性を上昇させ、2型糖尿病の前段階である前糖尿病のリスクを上昇させる」と、ドイツのヘルムホルツ研究センターとドイツ糖尿病研究センターが発表した。
 「糖尿病は、生活習慣や遺伝因子だけでなく、自動車による大気汚染によっても引き起こされる」とアネット ピーターズ教授は話している。

 研究チームはドイツ心臓病センターと共同して、アウクスブルグ市と隣接する2つの農村郡に在住している約3,000人を対象に調査を行った。被験者全員に対し、空腹時血液検査やブドウ糖負荷試験を行い、代表的なアディポサイトカインであるレプチンを調べ、インスリン抵抗性と炎症について検証した。同時に被験者の移住地で、大気粒子測定のために20ヵ所、二酸化窒素測定のために40ヵ所で、大気汚染物質濃度を調査した。

 「結果として、グルコース代謝が損なわれている前糖尿病の被験者は、特に大気汚染の影響を受けやすいことが明らかになった」と、ドイツ糖尿病研究センターのカトリーン ウルフ氏は言う。「血中マーカーのレベルと大気汚染物質の濃度との関係は有意だった。ゆえに、長期間にわたり血糖代謝に問題のある人にとって、大気汚染は2型糖尿病のリスク因子となる」としている。

 「大気汚染が呼吸器疾患や心疾患に影響をもたらすことが過去の研究で確かめられているが、今後は糖尿病も今後の研究の焦点となる。今回調査した地域では大気汚染物質の濃度はEU閾値以下だったが、健康への影響を考えると、大気汚染レベルの閾値をさらに下げることは必要だろう。個々の住民にとって大気汚染のレベルの高い地域を離れることは現実的な選択ではない。糖尿病の危険因子を性格に見極める研究が求められている」と、ヘルムホルツ研究センターのアレクサンドラ シュナイダー氏は言う。

Risk Factor Air Pollution(ヘルムホルツ研究センター 2016年9月8日)

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