「アンジオポエチン様タンパク質2」で2型糖尿病患者の心血管疾患リスクを判定

2016.09.28
第52回欧州糖尿病学会(EASD)

 血中のタンパク質「アンジオポエチン様タンパク質2」の値が、2型糖尿病患者の死亡リスクを判定するマーカーとして有望であるという調査結果が、第52回欧州糖尿病学会(EASD)で発表された。

アンジオポエチン様タンパク質2(Angptl2)が心血管疾患のマーカーに

 アンジオポエチン様タンパク質2(Angptl2)は、血管新生因子であるアンジオポエチンに構造上類似する分泌型タンパクとして同定される。血管細胞や単球細胞に作用するなど、多様な生物学的作用をもち、2型糖尿病やメタボリックシンドロームなどの新しい治療標的として注目されている。

 肥満の内臓脂肪組織ではAngptl2が多く発現し、炎症の発症・維持で重要な役割を果たす単球細胞を病変部に呼び込んで、脂肪組織の慢性炎症と全身のインスリン抵抗性、アテローム性動脈硬化症を引き起こすと考えられている。

 フランスのポワチエ総合病院のBarnabas Gellen氏とMathilde Fraty氏らは、2型糖尿病の大血管・細小血管合併症の遺伝的・環境的要因を探索するためにフランスで実施されている「SURDIAGENE研究」のデータを解析。対象となったのは、年齢(中央値)が64歳の2型糖尿病患者(男性 58%)1,353人で、6年間(中央値)追跡して調査した。

 全死因による死亡を主要評価項目とし、心血管(CV)疾患による死亡、心筋梗塞(MI)、主要なCV有害事象と心血管疾患・狭心症・心不全・脳卒中などのMACEを副次的評価項目に設定した。追跡期間に、367人(全人年の4.5%)が死亡し、290人(同3.7%)にMACEが認められた。

 ベースライン時の血中ANGPTL2値を「11.2ng/mL未満」「11.2ng/mL以上14.7ng/mL未満」「14.7ng/mL以上19.5ng/mL未満」「19.5ng/mL超」の4群に分けて検討したところ、19.5ng/mL超の群では19.5ng/mL未満の3群に比べて年齢、性、心血管疾患の危険因子などで調整後の死亡リスクが2.44倍(P<0.0001)と有意に高く、主要心血管イベントのリスクも2.43倍(P<0.0001)と有意に高かった。

 「2型糖尿病患者では、血中のANGPTL2値が高いと死亡とMACEのリスクが上昇する。ANGPTL2は重要なマーカーとなり、治療の治療のターゲットとなる可能性がある」と、Fraty氏は述べている。

 「現在は2型糖尿病患者を含め、ANGPTL2値がルーチン検査として測定されることはないが、今回の結果からANGPTL2値の測定は興味を引くコンセプトであることが示された。実際に日常診療での導入を検討するためには、臨床試験で今回の研究結果について検証する必要があるだろう」としている。

ANGPTL2 is associated with an increased risk of cardiovascular events and death in diabetic patients(Diabetologia 2016年8月4日)

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