発売から1年を迎えたSGLT2阻害薬 6種7製品の違いや特徴、疑問点
糖尿病診療に携わる皆さんに、関連するさまざまなテーマについて述べた記事、専門的な情報を集約し、紹介している「糖尿病情報スクランブル」の連載「糖尿病治療薬の特徴と服薬指導のポイント」を更新しました。
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今回は、発売されたばかりのSGLT2阻害薬エンパグリフロジンの特徴に加え、発売から1年を迎え、ラインナップが出揃ったSGLT2阻害薬についての総括的な内容になっています。SGLT2阻害薬6種7製品それぞれの特徴や違い、疑問点を、加藤先生の視点で解説していただきました。 ※シリーズ「インスリン製剤」は次回から再開いたします。
「糖尿病治療薬の特徴と服薬指導のポイント」では、日本糖尿病学会認定専門医であり、同学会の認定指導医でもある、加藤内科クリニック院長の加藤光敏先生に、ご自身の知識と経験を踏まえた服薬指導のポイントを、わかりやすく解説していただきます。
第18回 SGLT2阻害薬(5)(本文より)
今回第6番目のSGLT2阻害薬(以下SGLT2i)エンパグリフロジンが発売され6種7製品と なりました。最近の研究ではSGLT2iの糖毒性解除効果も注目されつつあり(文献1)、日本での副作用懸念、処方数鈍化とは裏腹に米国ではカナグリフロジンがシタグリプチンの処方数を上回るなど着実に伸びています。昨年のこの連載を読んでいただいた先生方から、同剤について良い質問がいくつも寄せられましたので、その内容も踏まえ解説したいと思います。
この1年で予定されていた最後のSGLT2iエンパグリフロジン(販売名:ジャディアンス)が2015年2月24日に発売されました。10mg(25mgに増量可)朝1回服用の薬剤で、吸収は早く内服後約1.5時間でピークに達します。代謝は主としてグルクロン酸抱合で、尿中・糞中排泄は約半分ずつ、血漿蛋白結合率は約85%です。最大の特徴はSGLT2選択性が極めて高く、トホグリフロジン(アプルウェイ/デベルザ)と少なくとも同等と言えます。しかし半減期は10mg単回投与でも9.9時間とトホグリフロジンの約2倍で、服用5日以内に定常状態に達します。(文献2)