GLP-1受容体作動薬「リキスミア」のパッチ製剤を開発
2014.07.04
サノフィ・グループの開発拠点で糖尿病領域を担うサノフィ独法人は、元京都薬科大学教授の高田寛治氏が立ち上げたバイオセレンタックと、日本でパッチ型糖尿病治療薬の創出に向けて提携する。注射剤として上市しているサノフィのGLP-1受容体作動薬「リキスミア」(一般名:リキシセナチド)を対象に、バイオセレンタックのもつ自己溶解型マイクロパイルアレイ技術を用いて非侵襲性製剤の開発に取り組む。
自己溶解型マイクロ パイルアレイは、ヒアルロン酸やコンドロイチンなど生体内ポリマーを材料とした約500μmのニードル(針)から形成されるシート状パッチ。微細なパイルのため、皮膚に貼った際も痛みがなく、表皮内に直接主成分を補充できるため皮下注射剤と同様の高い効果を期待できる。 リキスミアは、基礎インスリン製剤と併用のできるGLP-1受容体作動薬。インスリン分泌促進、グルカゴン分泌抑制、胃内容排出遅延の3つの作用から、食後血糖低下作用を示す。 糖尿病領域においては経口剤から注射剤まで幅広い治療選択肢があり、個々の患者の病態にそった治療を行うことが重要となる。しかしながら注射剤治療においては、「注射が怖い・痛い」といった理由で不安を感じる患者が少なくない。 マイクロ パイルアレイ技術を用いたパッチ型の糖尿病治療薬であれば、皮膚から吸収させることで効果を得ることができ、患者のコンプライアンスの向上も期待できる。 バイオセレンタックは2001年に創業された京都の大学発ベンチャー企業。高田氏が30年間にわたり開発したDDS技術を駆使した新規の経口製剤、経皮吸収製剤の実用化を目的としている 高田氏は、「京都薬科大学薬物動態学教室では、10数年にわたり自己溶解型マイクロ パイルアレイに関する研究を重ねてきた。日本のアカデミア発のDDS技術で、サノフィのようなグローバル企業と提携できるのは日本のバイオベンチャーにとって特筆すべきことであり、これにより、我が国のバイオ技術の高さが世界に認められるようになることを期待している」と述べている。 サノフィ
バイオセレンタック
[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]