ランタス 心血管系リスクが高い患者でHbA1c目標を達成・持続

2012.10.16
 サノフィは、ORIGIN試験の新たな結果を報告し、糖尿病予備群または早期糖尿病で、心血管系リスクが高い患者で、ランタス(一般名:インスリングラルギン)は標準的治療に比べ、目標とする血糖値レベル(HbA1c6.5%未満)を達成・維持する患者の割合が約3倍高いとの結果を発表した。

 第48回欧州糖尿病学会年次総会(EASD)で発表されたデータで、インスリングラルギンの使用はHbA1cの年間中央値が5年間にわたり6.5%未満に保たれることの独立した予測因子であることが標準治療との比較であきらかにされた。また、治療開始時のHbA1cが低値であることも、目標到達の予測因子であることがあきらかにされた。

 ORIGINは、インスリングラルギンと標準的治療が心血管系イベントの発生に及ぼす影響を比較した6年間にわたる臨床試験。同試験には、心血管系リスクが高い糖尿病予備群(空腹時血糖異常か耐糖能異常が見られる患者)または早期2型糖尿病(多くは経口糖尿病薬1剤にて治療中の患者)の患者1万2,500例以上が参加した。

 40ヵ国が参加したORIGINは、この患者集団における無作為化臨床試験としては世界最長かつ最大の試験であり、インスリンが心血管系イベント抑制に及ぼす影響を正式に検討した試験としては世界初の試験となる。

 試験では2×2要因試験を用い、インスリングラルギンを用いて空腹時血糖値を正常域(FPG 95 mg/dL)に下げる治療法と、オメガ3不飽和脂肪酸を用いる治療法のそれぞれが心血管系合併症の発現率および/または心血管系死亡率の低下をもたらすかどうかを検討した。

 標準治療群に割り付けられた患者は、生活習慣の改善、食事の改善、メトホルミン、スルホニルウレア系薬剤(SU薬)などの経口血糖降下薬などによる治療を受けた。

 今回得られた新たなデータについて、被験者を年齢、飲酒量、うつ病、治療開始時のHbA1c、尿中アルブミン:クレアチニン比(ACR)、糖尿病、腹部肥満および握力で層別して解析したところ、インスリングラルギンは標準治療に比べ全ての患者層で有効であり、特に腹部肥満の患者(p=0.011)と握力の強い患者(p<0.001)で有意差を認めた。

 低血糖の頻度は低く、重度低血糖の発現頻度はインスリングラルギン群では0.01例/患者・年、標準治療群では0.003例/患者・年だった。全般的な低血糖イベントの発現頻度は、インスリングラルギン群は16.7例/100人/年、標準治療群では5.2例/100人/年だった。またインスリングラルギン群の体重増加はゆるやかで、試験期間中の体重増加の平均値は3.5ポンド(1.6 kg)だった。

 今回のサブ解析の筆頭著者であるオレゴン健康科学大学(米国)のマシュー・リドル教授は、「インスリングラルギンは多くの患者で血糖コントロールを改善し、HbA1cを一般的な目標とされる6.5%未満に到達させ、5年間にわたりこれを維持することを示した」と述べている。

サノフィ

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