メトホルミンの癌発生を抑制する作用 乳癌細胞を劇的に低減

2011.12.14
国際糖尿病連合(IDF)世界会議2011

国際糖尿病連合(IDF)世界会議2011

 2型糖尿病治療薬であるメトホルミンが乳癌細胞の増殖を抑制するとの研究を、ミシガン州立大学の研究チームが発表した。

 ビグアナイド薬のメトホルミンは、SU剤と並んで古くから糖尿病治療に使用されてきた製剤である。韓国のソウル国立大学のJames Trosko教授(小児科学)らは、メトホルミンの長期使用が、糖尿病と関連の深い乳癌などの癌の危険を減らすとの知見を示した。研究は科学誌「PLoS One」に発表された。

 「2型糖尿病をもつ人は糖尿病に関連して、乳癌、肝臓癌、膵臓癌などを発症する危険性が高まるが、メトホルミンによる治療を続けている患者ではこれらの癌の危険性を低下することが、いくつかの研究で示されている。どのような機序で癌の発症が減るのか、はっきりとしたことは分かっていない」とTrosko氏は話す。

 Trosko氏らは、成人のヒト幹細胞から乳癌細胞を増殖させる化学物質において特異的であることに注目した。エストロゲンは乳癌細胞の中にあるエストロゲン受容体と結びつき、癌細胞の増殖を促す。研究チームは、マンモスフィアを用いた細胞培養系により乳腺細胞の分化発育を詳細に検討した。その結果、エストロゲンや化学物質がマンモスフィアを数とサイズを増加させるが、メトホルミンを加えると劇的に縮小することを発見した。

 「正確な分子メカニズムは解明されていないが、メトホルミンはエストロゲンと内分泌撹乱物質が乳癌を成長させるのを抑える、劇的な働きをするようだ。メトホルミンに2型糖尿病患者の乳癌の予防薬としての適用があるかを見極めるために、今後より多くの研究が必要となる。同様に膵臓癌、肝臓癌についても検討が必要だ」Trosko氏は述べている。

Diabetes drug shows promise in reducing risk of cancer(ミシガン州立大学 2011年11月23日)

糖尿病・内分泌プラクティスWeb 糖尿病・内分泌医療の臨床現場をリードする電子ジャーナル

尿病関連腎臓病の概念と定義 病態多様性 低栄養とその対策
小児・思春期1型糖尿病 成人期を見据えた診療 看護師からの指導・支援 小児がんサバイバーの内分泌診療 女性の更年期障害とホルモン補充療法 男性更年期障害(LOH症候群)
神経障害 糖尿病性腎症 服薬指導-短時間で患者の心を掴みリスク回避 多職種連携による肥満治療 妊娠糖尿病 運動療法 進化する1型糖尿病診療 糖尿病スティグマとアドボカシー活動 糖尿病患者の足をチーム医療で守る 外国人糖尿病患者診療
インクレチン(GLP-1・GIP/GLP-1)受容体作動薬 SGLT2阻害薬 NAFLD/NASH 糖尿病と歯周病 肥満の外科治療 骨粗鬆症 脂質異常症 がんと糖尿病 クッシング症候群 甲状腺結節 原発性アルドステロン症
エネルギー設定の仕方 3大栄養素の量と質 高齢者の食事療法 食欲に対するアプローチ 糖尿病性腎症の食事療法
糖尿病薬を処方する時に最低限注意するポイント(経口薬) GLP-1受容体作動薬 インスリン 糖尿病関連デジタルデバイス 骨粗鬆症治療薬 二次性高血圧 1型糖尿病のインスリンポンプとCGM

医薬品・医療機器・検査機器

糖尿病診療・療養指導で使用される製品を一覧で掲載。情報収集・整理にお役立てください。

一覧はこちら

最新ニュース記事

よく読まれている記事

関連情報・資料