レベミルの2~5歳の小児を対象にした新しい臨床成績

2011.05.24
 ノボ ノルディスクは、持効型溶解インスリンアナログ製剤「レベミル®(インスリン デテミル)」の新しい臨床成績について発表した(デンマーク現地時間で3月23日に発表)。「ヒトインスリンと同等の有効性があり、低血糖の発現リスクが低い」との結論が示された。

適応が拡大されれば2~5歳の小児糖尿病患者に投与できる
最初の基礎インスリンアナログ製剤に

 この臨床試験は2歳~16歳までの小児を対象として行われた試験のサブグループ解析で、試験結果は医学誌「Pediatric Diabetes」のオンライン版に発表された。

 「5歳以下の1型糖尿病の子供たちは、重篤な低血糖を発症する可能性が高く、さらに、急性合併症を発症するリスクが高いことが分かっている。このため、この年齢層の患者さんの安全性について検証することが特に重要だ」と英国ノーフォークおよびノリッチ大学病院のDr. Nandu Thalange主任研究員は話す。

 臨床試験では、2歳~5歳の小児1型糖尿病患者において、「レベミル®+超速効型インスリンアナログ製剤ノボラピッド®(インスリン アスパルト)」群と、「NPHヒトインスリン+ノボラピッド®」群に分け、24時間および夜間低血糖の発現頻度を調べた。

 その結果、レベミル®は、2歳~5歳の小児1型糖尿病患者に対して、ヒトインスリン製剤と同等に有効な治療の選択肢で、低血糖の発現リスクが少ないことを示された(24時間:50.6 vs 78.3 件/人・年、夜間低血糖:8.0 vs 17.4 件/人・年)。

 当該年齢の患者数が少ないことから統計解析は行われていないが、示された低血糖発現リスクの差は、統計学的に有意差が認められた患者集団全体の結果と同じパターンを示した。レベミル®群において、重篤な低血糖の発現はなかったが、ヒトインスリン群では3例6件の重篤な低血糖が報告された。

 血糖コントロールについては、ベースラインのHbA1c(NGSP値)は両群で同等(8.2% vs 8.1%)かつ、1年後の変化もほとんどなかった(8.1% vs 8.3%)。ベースラインの空腹時血糖値も両群で同等(151.9 vs 154.1 mg/dL)で、治療期間中に両群とも低下した(-18.0 vs -8.1 mg/dL)。レベミル®は体重のZスコア(年齢と性別から標準化した体重)において-0.17の変化を示し、一方、ヒトインスリン群の変化は+0.03だった。

 この研究の治験責任医師たちは、この年齢層に対して、レベミル®+ノボラピッド®投与がヒトインスリンと同等の有効性があり、低血糖の発現リスクが低いと結論付けている。

 現在使用されている全ての基礎インスリンアナログ製剤は2歳~5歳の年齢層への投与が推奨されていないが、ノボ ノルディスクはレベミル®の適応症追加に取り組んでいる。

 「添付文書の改訂が受け入れられれば、レベミル®はこの年齢層に適応が拡大される最初の基礎インスリンアナログ製剤となる」と同社のグローバル メディカル アフェアーズのコーポレート バイス プレジデントのキリスチーネ ブラウン フランドセン氏は述べている。

ノボ ノルディスク ファーマ(株)
Treatment with insulin detemir or NPH insulin in children aged 2-5 yr with type 1 diabetes mellitus
Pediatric Diabetes, Article first published online: 21 MAR 2011

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