α-GI、ACE阻害薬のスイッチOTC化 学会は反対を表明

2011.04.13
日本薬学会選定 スイッチ候補成分(平成22年度)
成分名薬効群
ボグリボース
アカルボース
糖吸収抑制薬
カプトプリル エナラプリルマレイン酸塩
アラセプリル
デラプリル塩酸塩
シラザプリル水和物
リシノプリル水和物
ベナゼプリル塩酸塩
イミダプリル塩酸塩
テモカプリル塩酸塩
キナプリル塩酸塩
トランドラプリル
ペリンドプリルエルブミン
降圧薬
コレスチミド コレステロール
ドンペリドン 消化管運動調整薬
ベポタスチンベシル酸塩
オロパタジン塩酸塩
セチリジン塩酸塩
抗アレルギー薬
 厚生労働省は、日本薬学会の「医療用医薬品の有効成分の一般用医薬品への転用に係る候補成分検討報告書」について、日本医学会およびその分科会から提出された報告書に対し、関連する各医学会等から出された意見書を公表した。

 医療機関で処方される医療用医薬品(処方薬)を、薬局やドラッグストアで購入できる一般用医薬品(市販薬)へ転用したスイッチOTC薬は、疾患の初期治療やセルフメディケーションによる進展予防につながると期待されている。

 平成22年度の選定成分(スイッチ候補成分)について、意見書を提出したのは、日本体力医学会、日本呼吸器学会、日本皮膚科学会、日本高血圧学会、日本救急医学会、日本糖尿病学会、日本アレルギー学会、日本小児科学会、日本循環器学会の9学会。

 このうち、日本高血圧学会はスイッチOTC薬の候補となった降圧薬(ACE阻害薬)について、「高血圧治療は個々の病態に応じて行わなければならず、長期的な臨床評価を必要とする」として、「高血圧(低リスクであっても)の管理を患者と薬剤師にまかせるのは大きな問題」とした。さらに、安全性についても危惧があるとの考えを示し、反対の意見を表明した。

 また、日本糖尿病学会は、候補となったボグリボースとアカルボース(α-グルコシダーゼ阻害薬)について、「前糖尿病状態から急速に糖代謝が悪化することは頻繁に認められる」、「糖代謝異常が認められる場合には、病態に応じて食事療法や運動療法および薬物療法を含めた最も適切な治療がなされるべき」、「病態の判断や治療法の選択は医師が主導すべき」として、反対の意見をあらわれした。

 同学会は「SU薬等の血糖降下薬を服用している事例に対しても、処方がなされる可能性を除外できない」、「薬剤を服用しているための過度の安心感等から、医療機関や定期健診の受診から遠ざかる」等も指摘し、ボグリボースとアカルボースを候補から除外するよう求めた。

 コレスチミド(脂質降下薬)については、日本循環器学会は「比較的安全性が高い薬剤」としながらも、「便秘等の消化器症状を有し、他剤との相互作用のために継続投与することが困難な症例もかなりある」として、「禁忌項目の多い、もしくは慎重投与が必要や薬剤でもある。医師管理の下で処方されることが妥当」との見解を示した。

 なお、「適当な品目をスイッチ化し、セルフメディケーションを推進し、良質で安価な薬物を一般医薬品の市場に提供することには賛同する」との見解を示した学会もある。

医療用医薬品の有効成分のうち一般用医薬品としても利用可能と考えられる候補成分について(医学会等からの御意見)(厚生労働省 2011年4月11日)

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