【新型コロナ】サノフィとGSKの次世代ブースターワクチン候補 コミナティ筋注のブースター接種よりも強力な免疫反応

2022.06.22
 サノフィとGSKは、新型コロナに対する次世代ブースターワクチンが、オミクロン株をはじめとする変異株に対して、強力な免疫反応を誘導することを確かめたと発表した。

 開発しているのは、サノフィのワクチン抗原とGSKのアジュバント(免疫増強剤)を組み合わせた組み換えタンパクワクチン。この次世代ブースターワクチン候補は、mRNAワクチンによる初回接種を完了した成人で、免疫反応を誘導し、ファイザー/ビオンテック社のコミナティ筋注のブースター接種よりも強力な免疫反応が得られたとしている。

 このワクチン候補は、オミクロン株のBA.1系統やBA.2系統をはじめとする懸念される変異株に対しても、予防効果を発揮する可能性を示し、安全性と忍容性のプロファイルは良好だった。

サノフィとGSKのワクチン候補の中和抗体価が10倍以上上昇した割合は76.1%

 サノフィは、開発中の新型コロナに対するブースターワクチンとして、ベータ株をモデルとした抗原とGSKのパンデミックアジュバントを含むブースターワクチン候補を用いて行った2件の臨床試験(VAT02コホート2、COVIBOOST VAT013)のデータを報告した。

 VAT02コホート2第3相試験では、mRNA COVID-19ワクチンによる初回接種を受けた成人が、サノフィとGSKの次世代ワクチン候補の接種を受けたところ、多数の懸念される変異株に対する抗体価がベースラインに比べ有意に上昇した(接種15日後の測定、D614プロトタイプウイルスに対しては15倍、ベータ株に対しては30倍上昇)。

 とくにオミクロン株に関する予備データでは、BA.1系統に対する抗体価は40倍上昇した。サノフィとGSKが開発中の次世代ブースターワクチン候補の接種後に認められたオミクロン株BA.1系統とBA.2系統に対する中和抗体価は、D614(プロトタイプウイルス)ベースのブースターワクチンを接種した後の中和抗体価の2倍だった。

 また、フランスのパリ公立病院連合(AP-HP)が独自に行ったCOVIBOOST(VAT013)試験では、ファイザー/ビオンテック社のコミナティ筋注の初回接種を2回受けた被験者を対象として検討したところ、サノフィとGSKの次世代ブースターワクチン候補で得られた免疫反応(中和抗体価で測定)は、プロトタイプウイルスであるD614を標的としたファイザー/ビオンテック社ワクチンのブースター接種やサノフィとGSKの第一世代ワクチン候補のブースター接種時よりも高いことが明らかになった。

第0日から第15日の間にプロトタイプ株である新型コロナウイルスD614株に対する中和抗体価が10倍以上上昇した被験者の割合は、次の通り。

  • サノフィとGSKの次世代ブースターワクチン候補では76.1% (95% CI 64.5–85.4)
  • ファイザー/ビオンテック社のD614ブースターワクチンでは63.2% (95% CI 51.3–73.9)
  • サノフィとGSKのD614ブースターワクチン(第一世代ブースターワクチン候補)では55.3% (95% CI43.4–66.7)

 この試験には247人の被験者が参加した。検討した3種類のワクチンはいずれもオミクロン株BA.1系統に対する中和抗体の上昇をもたらしたが、サノフィとGSKの次世代ワクチン候補はもっとも高い免疫反応を誘導した。COVIBOOST試験の結果は、すでにプレプリントサーバーで公開されているが、今後は査読論文誌に発表される予定としている。

 上記2件の試験でのいずれでも、サノフィとGSKの次世代ワクチン候補の忍容性は高く、安全性プロファイルは良好だった。VAT02コホート2試験では、グレード3の副反応が少数(4%未満)で報告されましたが、いずれも一過性のもので重度ではなかった。

 「新型コロナウイルスは変異し続けています。ベータ株の変異は、オミクロン株をはじめとする多数の懸念すべき変異株にみられる変異と似通っており、開発中の次世代ブースターワクチン候補は新型コロナウイルスの多数の変異株に対して幅広く予防効果を発揮できるワクチン候補であるといえます」と、サノフィでは述べている。

Immunogenicity and Safety of Beta Adjuvanted Recombinant Booster Vaccine

[ TERAHATA / 日本医療・健康情報研究所 ]

糖尿病・内分泌プラクティスWeb 糖尿病・内分泌医療の臨床現場をリードする電子ジャーナル

脂質異常症の食事療法のエビデンスと指導 高TG血症に対する治療介入を実践 見逃してはいけない家族性高コレステロール血症
SGLT2阻害薬を高齢者でどう使う 週1回インスリン製剤がもたらす変革 高齢1型糖尿病の治療 糖尿病治療と認知症予防 高齢者糖尿病のオンライン診療 高齢者糖尿病の支援サービス
GLP-1受容体作動薬の種類と使い分け インスリンの種類と使い方 糖尿病の経口薬で最低限注意するポイント 血糖推移をみる際のポイント~薬剤選択にどう生かすか~ 糖尿病関連デジタルデバイスの使い方 1型糖尿病の治療選択肢(インスリンポンプ・CGMなど) 二次性高血圧 低ナトリウム血症 妊娠中の甲状腺疾患 ステロイド薬の使い分け 下垂体機能検査
NAFLD/NASH 糖尿病と歯周病 肥満の外科治療-減量・代謝改善手術- 骨粗鬆症治療薬 脂質異常症の治療-コレステロール低下薬 がんと糖尿病 クッシング症候群 甲状腺結節 原発性アルドステロン症 FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症 褐色細胞腫

医薬品・医療機器・検査機器

糖尿病診療・療養指導で使用される製品を一覧で掲載。情報収集・整理にお役立てください。

一覧はこちら

最新ニュース記事

よく読まれている記事

関連情報・資料