【新型コロナ】サノフィとGSKの次世代ブースターワクチン候補 コミナティ筋注のブースター接種よりも強力な免疫反応
サノフィとGSKのワクチン候補の中和抗体価が10倍以上上昇した割合は76.1%
サノフィは、開発中の新型コロナに対するブースターワクチンとして、ベータ株をモデルとした抗原とGSKのパンデミックアジュバントを含むブースターワクチン候補を用いて行った2件の臨床試験(VAT02コホート2、COVIBOOST VAT013)のデータを報告した。
VAT02コホート2第3相試験では、mRNA COVID-19ワクチンによる初回接種を受けた成人が、サノフィとGSKの次世代ワクチン候補の接種を受けたところ、多数の懸念される変異株に対する抗体価がベースラインに比べ有意に上昇した(接種15日後の測定、D614プロトタイプウイルスに対しては15倍、ベータ株に対しては30倍上昇)。
とくにオミクロン株に関する予備データでは、BA.1系統に対する抗体価は40倍上昇した。サノフィとGSKが開発中の次世代ブースターワクチン候補の接種後に認められたオミクロン株BA.1系統とBA.2系統に対する中和抗体価は、D614(プロトタイプウイルス)ベースのブースターワクチンを接種した後の中和抗体価の2倍だった。
また、フランスのパリ公立病院連合(AP-HP)が独自に行ったCOVIBOOST(VAT013)試験では、ファイザー/ビオンテック社のコミナティ筋注の初回接種を2回受けた被験者を対象として検討したところ、サノフィとGSKの次世代ブースターワクチン候補で得られた免疫反応(中和抗体価で測定)は、プロトタイプウイルスであるD614を標的としたファイザー/ビオンテック社ワクチンのブースター接種やサノフィとGSKの第一世代ワクチン候補のブースター接種時よりも高いことが明らかになった。
第0日から第15日の間にプロトタイプ株である新型コロナウイルスD614株に対する中和抗体価が10倍以上上昇した被験者の割合は、次の通り。
- サノフィとGSKの次世代ブースターワクチン候補では76.1% (95% CI 64.5–85.4)
- ファイザー/ビオンテック社のD614ブースターワクチンでは63.2% (95% CI 51.3–73.9)
- サノフィとGSKのD614ブースターワクチン(第一世代ブースターワクチン候補)では55.3% (95% CI43.4–66.7)
この試験には247人の被験者が参加した。検討した3種類のワクチンはいずれもオミクロン株BA.1系統に対する中和抗体の上昇をもたらしたが、サノフィとGSKの次世代ワクチン候補はもっとも高い免疫反応を誘導した。COVIBOOST試験の結果は、すでにプレプリントサーバーで公開されているが、今後は査読論文誌に発表される予定としている。
上記2件の試験でのいずれでも、サノフィとGSKの次世代ワクチン候補の忍容性は高く、安全性プロファイルは良好だった。VAT02コホート2試験では、グレード3の副反応が少数(4%未満)で報告されましたが、いずれも一過性のもので重度ではなかった。
「新型コロナウイルスは変異し続けています。ベータ株の変異は、オミクロン株をはじめとする多数の懸念すべき変異株にみられる変異と似通っており、開発中の次世代ブースターワクチン候補は新型コロナウイルスの多数の変異株に対して幅広く予防効果を発揮できるワクチン候補であるといえます」と、サノフィでは述べている。
Immunogenicity and Safety of Beta Adjuvanted Recombinant Booster Vaccine