【新型コロナ】感染患者の4人に1人に遷延症状 女性は倦怠感、味覚・嗅覚障害、脱毛が出やすい 日本人457人を調査

2021.10.13
 国立国際医療研究センターは、新型コロナ罹患後の遷延症状について、長期的な疫学的調査を行い、遷延症状があらわれるリスクを明らかにした。調査は、新型コロナ罹患後の患者を対象に行い、457人から回答を得た。回答者の8割以上は軽症者だった。
 4人に1人(26.3%)が罹患後半年経過した後も何らかの遷延症状が出ていて、軽症者でも遷延症状が長引くケースがあることが分かった。
 女性の方が、▼倦怠感、▼味覚・嗅覚障害、▼脱毛があらわれやすく、若年者ほど味覚嗅覚障害があらわれやすいことが示された。
 「2回のワクチン接種は、新型コロナの遷延症状を予防する観点からも有用である可能性があります」と、同センターでは述べている。

日本人を対象に新型コロナ罹患後に半年以上追跡して調査

 これまで、新型コロナには遷延症状があることが、国内外で報告されている。国内のいくつかの調査で、中等症以上の患者で、退院後3ヵ月の時点で肺機能低下の遷延症状があったことが報告されている。

 また、軽症者などでも、診断後6ヵ月の時点で80%は罹患前の健康状態に戻るものの、一部で症状が遷延すると、生活の質の低下、不安や抑うつ、睡眠障害の傾向が強まることが分かっている。嗅覚・味覚障害のみられた人では、退院後1ヵ月までの改善率は嗅覚障害60%、味覚障害84%だった。

 一方で、日本人を対象に罹患後半年以上追跡し、遷延症状があらわれるリスクを調べた調査はこれまでなかった。

 そこで、国立国際医療研究センターは、2020年2月~2021年3月に同センター病院の新型コロナ回復者血漿事業スクリーニングに参加した患者を対象に、アンケート調査を行った。

6ヵ月経過時点で26.3%に遷延症状

 457人の回答者の年齢の中央値は47歳、50.5%が女性、何らかの基礎疾患をもつ人は46.4%、重症度は軽症が84.4%、中等症が12.7%、重症が2.9%だった。また、発症日からアンケート調査日までの期間の中央値は248.5日だった。

 発症時もしくは診断時から6ヵ月経過時点で、73.7%が無症状であり、26.3%に何らかの症状を認められた。また、発症時もしくは診断時から12ヵ月経過時点で91.2%が無症状で、8.8%に何らかの症状が認められた。

 倦怠感、味覚障害、嗅覚障害、脱毛といった遷延症状について解析した結果、男性に比べて女性ほど倦怠感、味覚・嗅覚障害、脱毛が出現しやすく、味覚障害が遷延しやすいことが分かった。

 また、若年者、やせ型であるほど味覚・嗅覚障害があらわれやすいことも分かった。抗ウイルス薬やステロイドなどの急性期治療の有無と遷延症状の出現については、明確な相関はみられなかった。

発症(診断)からの日数と何らかの遷延症状が残る患者の割合

発症(診断)からの日数と急性期から遷延症状を呈する患者の割合

発症(診断)からの日数と回復後に出現する遷延症状を有する患者の割合

出典:国立国際医療研究センター、2021年

ワクチン接種は遷延症状の予防にも寄与

 今回の研究では調査していないものの、新型コロナワクチンを2回接種していた人は、新型コロナ罹患後に症状が28日間以上遷延しにくく、このことから、ワクチン接種は発症予防や重症化予防だけではなく、遷延症状の予防にも寄与する可能性があるとしている。

 「もっとも重要な遷延症状の予防は、新型コロナに罹患しないことであり、基本的な感染対策が重要と考えられます」と、同センターでは述べている。

厚生労働省が配布しているポスター

国立国際医療研究センター
Risk factors associated with development and persistence of long COVID(medRxiv 2021年9月23日)

[ TERAHATA / 日本医療・健康情報研究所 ]

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