「妊娠糖尿病既往女性のフォローアップに関する診療ガイドライン」を策定 日本糖尿病・妊娠学会

妊娠糖尿病の診断・管理・フォローアップに活用
フォローアップに重要な5つのCQと推奨を提示 診療アルゴリズム案も
日本糖尿病・妊娠学会(理事長:杉山 隆・愛媛大学大学院医学系研究科産科婦人科学教室教授)は2018年度から、日本医療研究開発機構日本医療研究開発機構(AMED)女性の健康の包括的支援実用化研究事業で、「妊娠糖尿病女性における出産後の糖尿病・メタボリックシンドローム発症のリスク因子同定と予防介入に関する研究」を実施。
同研究の最後のまとめとしてこのほど、「妊娠糖尿病既往女性のフォローアップに関する診療ガイドライン」を作成した。
AMED研究のテーマを選んだ理由は次の4点――。
- 妊婦の約1割が何らかの耐糖能異常をもつ時代になっていること
- 妊婦の耐糖能異常は妊娠中、分娩時、出産直後の母体、胎児、新生児に種々の合併症を引き起こすこと
- 妊娠糖尿病は将来の母児の糖尿病、メタボリックシンドローム発症に関与すること
- それらの種々の状況は、妊娠中に診断し、産後に耐糖能を再評価し、種々の介入をすることで予防できるものであること
同ガイドラインは、妊娠糖尿病診断、フォローアップに重要と思われる5つのクリニカルクエスチョン(CQ)に対し、推奨文を提示する形式になっている。
その結果は、最後に「エビデンスの強さと推奨度を考慮した妊娠糖尿病既往女性の産後のフォローアップに関する診療アルゴリズム案」として示されており、各CQに対するシステマティックレビューと、現在どこまで分かっているかが詳しく解説されている。
同学会では、「ガイドラインの内容を理解のうえ、妊娠糖尿病の診断、管理、フォローアップに関係する多くの方に使用していただき、妊婦・褥婦に正しい情報を提供し、有効利用していただきたく思います」と述べている。
「妊娠糖尿病女性における出産後の糖尿病・メタボリックシンドローム発症のリスク因子同定と予防介入に関する研究」研究班 (研究開発代表者:平松祐司)編
一般社団法人 日本糖尿病・妊娠学会(理事長:杉山 隆)編
I. 疾患トピックの基本的特徴
2. 疫学的特徴
3. 診療の全体的な流れ
II. ガイドライン作成の過程
2. システマティックレビューに関する事項
3. 推奨形成から最終化、公開までに関する事項
III. 推奨
CQ2. 妊娠糖尿病女性の産後の糖代謝異常の評価方法は何がよいか?
CQ3. 妊娠糖尿病既往女性において、2型糖尿病発症予防のための産後の生活習慣介入は有効か?
CQ4. 妊娠糖尿病既往女性において、2型糖尿病発症予防のための薬物療法介入は有効か?
CQ5. 妊娠糖尿病女性において、母乳哺育を実施することに2型糖尿病発症予防効果があるか?
IV. エビデンスの強さと推奨度を考慮した、診療アルゴリズム案の提示
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