【新型コロナ】パンデミックの長期化で精神面でのストレスが増加 心理的ケアの必要が
パンデミックの長期化により精神面での困難を訴える人が増加
新型コロナのパンデミックによる日常生活の変化は長期間に及んでいるが、その心理的影響について、横断的調査での報告はあるが、日本での縦断調査の報告はほとんどない。
そこで東北大学などの研究グループは、2020年5月25日(日本ではじめて新型コロナの感染者が報告された131日後)と2021年9月26日(同610日後)に、それぞれ224人と220人に対しWebアンケート調査を行った。
その結果、「ストレスを感じる」と答えた人は、この2時点で76%から97%に増加した一方で、「外出の頻度が減少した」と答えた人の割合は88%から85%、「スポーツ・運動の頻度が減少した」という人は59%から66%と、それぞれ変わらなかった。
さらに、「新型コロナ によって困っていることがありましたらお答えください」と自由回答で質問し、KH coderによる共起ネットワーク分析を行った。
KH coderは、テキスト型データの計量的な内容分析もしくはテキストマイニングのためのソフトウェア。どのような言葉が多く出現していたのかを頻度表からみることができる。また、共起ネットワークは、単語が共通に出現する関係(共起関係)を円と線で表示したもの。
その結果、1回目調査では「収入の減少」「マスク」という言葉を挙げた人が多かったが、2回目では「人と会えない」「ストレスがたまる」という言葉が多かった。
つまり、新型コロナのパンデミック下で、当初は金銭面やマスクなどの物資について困っている人が多かったが、パンデミックの長期化により精神的な面での困難を訴える人が多くなることが分かった。
新型コロナ によって困っていることは?
2020年5月25日と2021年9月26日を比較
現在、新型コロナウイルスの変異株であるオミクロン株の出現により、長期的な生活変容が強いられるなか、物質面に加え精神面の支援も重点化に行う必要があることが明らかになった。
研究は、東北大学病院・肢体不自由リハビリテーション学分野の奧山純子助教、東北大学災害科学国際研究所の門廻充侍助教らと、指定国立大災害科学世界トップレベル研究拠点のグループによるもの。研究成果は、「Journal of Disaster Research」に掲載された。
東北大学大学院医学系研究科
東北大学病院
東北大学災害科学世界トップレベル研究拠点
Life Alterations and Stress During the COVID-19 Pandemic in Japan: Two-Time Comparison (Journal of Disaster Research 2022年1月30日)