糖尿病患者におけるアドバンス・ケア・プランニング(ACP) ~「どう生きたいか」から始まる糖尿病のACP~
高齢多死社会が進むわが国で、人生の最終段階における医療やケアのあり方を考え共有する取り組みである「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」が注目されています。慢性疾患である糖尿病において、ACPをどのように理解し、実践につなげていけばよいのか。ACPに造詣の深い山﨑真裕先生と肥後直子先生に、お話を伺いました。

京都第二赤十字病院
代謝内分泌内科 部長
山﨑真裕 先生

京都府立医科大学附属病院
糖尿病看護認定看護師
肥後直子 先生
※この記事は「糖尿病リソースガイド」が制作し、株式会社三和化学研究所発行『Precious Voice no.8』に掲載されました。
Q. アドバンス・ケア・プランニング(ACP)とはどのようなものか教えてください。
(敬称略)
肥後 厚生労働省はACPを「人生会議」と称し、「もしものときのために、あなたが望む医療やケアについて前もって考え、家族等や医療・ケアチームと繰り返し話し合い、共有する取組」と定めています1)。自分がどのように生きどのように死んでいくか、例えばどこで死にたいか、誰と一緒にいたいか、心肺停止になったら蘇生処置を受けたいか等、どこまでを具体的に決めるかは人それぞれですが、全員が考えることを国として推奨しています。
山﨑 定義はその通りとして、今のACPは「急変時や終末期にどうするか」「病院に運ばれた時にどうするか」に集中しすぎている印象があります。個人的には、むしろ「それまでどう生きるか」の方が大切ではないかと思います。その人の価値観や人生観を大切にしながら、どう生きたいかを明らかにしていくことで、結局は死に方も決まっていくのだろうと考えています。