SGLT2阻害薬は2型糖尿病患者のリウマチ性疾患リスクの低下と関連

SGLT2-iは、炎症や酸化ストレスの抑制および免疫調整など、自己免疫疾患のリスクを抑制するように働く作用を持っていることが報告されている。しかしその臨床的な意義は明らかにされていない。Hong氏らは、韓国の全国規模のヘルスケアデータベースを用いて、SGLT2-iのAIRDリスクへの影響を検討した。
2012~2022年に2型糖尿病として記録されていた18歳以上の成人203万2,157人に、SGLT2-iまたはSU薬が用いられており、このうち55万2,065人はSGLT2-iで治療が開始され、148万92人はSU薬で治療が開始されていた。主要評価項目をAIRDの発症、副次評価項目を炎症性関節炎や結合組織疾患の発症として、傾向スコアに基づく標準化逆確率治療重み付け(IPTW)によりリスクを比較した。
IPTW後の重み付けサンプル数は、SGLT2-i群103万88人(平均年齢58.5歳、男性59.9%)、SU薬群100万2,069人(同58.5歳、60.1%)となった。解析の結果、10万人年当たりのAIRD発症リスクは、SGLT2-i群51.90、SU薬群58.41であった。中央値9カ月の追跡で、SGLT2-iはAIRD発症リスクが11%有意に低かった(ハザード比〔HR〕0.89〔95%信頼区間0.81~0.98〕、発症率差〔IRD〕-6.50〔同-11.86~-1.14〕)。年齢、性別、SGLT2-iの種類、ベースラインでの心血管疾患や肥満の有無により層別化したサブグループ解析では、サンプル数が少ない群間での比較(例えば65歳未満など)ではリスク差が非有意となったが、おおむね全体解析と一致する結果だった。
副次評価項目の炎症性関節炎についてもSGLT2-i群でリスクが有意に低かった(10万人年当たり37.53対43.30、HR0.86〔0.77~0.97〕、IRD-5.78〔-10.37~-1.19〕)。結合組織疾患のリスクには有意差がなかった(HR0.95〔0.79~1.14〕)。
なお、残余交絡の影響を検証するために、陽性対照として性器感染症、陰性対照として帯状疱疹のリスク差が解析された。その結果、前者はSGLT2-i群がHR2.78(2.72~2.83)、後者はHR1.03(1.01~1.05)であり、残余交絡の影響は小さいと考えられた。
著者らは、「われわれの研究結果は、SGLT2-iがAIRDのリスクを抑制する可能性を示唆しているが、他の集団・条件での再現、および、既にAIRDを有する患者群での研究によって、このエビデンスを強固にする必要がある」と述べている。
なお、1人の著者が製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を開示している。
[HealthDay News 2025年10月23日]
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