2型糖尿病患者における禁煙、8年以上の継続で細小血管障害リスクが低下 韓国20万人超コホート研究

喫煙は、全身の炎症や血管内皮機能障害を介して、2型糖尿病における細小血管障害のリスクを高めることが知られている。しかし、禁煙によってこのリスクが低下するのか、低下するとすれば禁煙をどのくらい続ければよいのかについては、十分なエビデンスがなかった。そこで研究グループは、2型糖尿病患者における禁煙期間と細小血管障害の発症リスクとの関連を検討した。
本研究は、韓国の国民健康保険公団のデータベースを用いた全国規模の後ろ向きコホート研究。2003~2013年に初めて2型糖尿病と診断され、2002年以降に健康診断を4回以上受けた人を対象とし、健診のたびに回答された喫煙状況をもとに、非喫煙者、禁煙者、喫煙継続者の3群に分類した。このうち禁煙者は、最初の健診では喫煙していたが、その後は一度も再喫煙することなく禁煙を続けていた人とし、禁煙期間によって2年未満から8年以上までの5段階に分けた。そのうえで、糖尿病腎症、網膜症、神経障害の発症について、年齢、性別、BMI、血圧、飲酒、運動、喫煙量(pack-years)、糖尿病罹病期間などを調整して解析した。
解析対象となった20万9,698人(平均年齢57.2歳)の内訳は、非喫煙者16万2,861人、禁煙者1万1,848人、喫煙継続者3万4,989人で、平均9.0年追跡された。細小血管障害全体の発症率(1万人年あたり)は、喫煙継続者では301.9であったのに対し、禁煙者では禁煙期間が長くなるにつれて低下し、8年以上禁煙していた人では237.6であった。
喫煙継続者と比べると、8年以上禁煙していた人では、細小血管障害全体の発症リスクが19%低かった(調整ハザード比〔aHR〕0.81、95%CI 0.70~0.95)。合併症別にみても、腎症(aHR 0.79、95%CI 0.64~0.94)、網膜症(aHR 0.59、95%CI 0.36~0.97)、神経障害(aHR 0.80、95%CI 0.66~0.98)のいずれでもリスクが低かった。神経障害については、6~7年の禁煙でもリスク低下との関連がみられた(aHR 0.76、95%CI 0.64~0.89)。一方、禁煙して2年未満の人では、腎症のリスクがむしろ高かった(aHR 1.12、95%CI 1.03~1.23)。このことについて著者らは、健康状態の悪化や合併症の初期症状をきっかけに禁煙した人が含まれている可能性を指摘している。
性別によるサブグループ解析では、上記の関連が有意であったのは男性のみであった。ただし、禁煙者と喫煙継続者の97%以上が男性であり、女性については人数が少なく十分な解析ができなかったとしている。
以上の通り本研究では、2型糖尿病患者において、8年以上の禁煙は喫煙の継続と比べて、細小血管障害全体および腎症、網膜症、神経障害のリスク低下との関連が示された。著者らは、細小血管障害のリスク低減には長期にわたる禁煙の継続が重要である可能性があると結論付けている。
一方で著者らは、観察研究であるため因果関係は示せないこと、HbA1cのデータがなく血糖管理による交絡を除外しきれないこと、長期の禁煙者はほかの健康的な生活習慣も取り入れていた可能性があることなどを、研究の限界として挙げている。




