EASD、成人1型・2型患者の「糖尿病ディストレス」に関する診療ガイドラインを発表

本ガイドラインでは、糖尿病ディストレスを「糖尿病とともに生活し、自己管理することから生じる感情的な負担」と定義し、大うつ病性障害とは区別している。成人1型糖尿病患者1万186例を対象としたノルウェーの全国レジストリ研究では22%に、成人2型糖尿病患者3万6,998例を対象とした55研究のメタ解析では36%に、糖尿病ディストレスが認められたという。
EASDの新たなガイドライン作成手順(Standard Operating Procedure)に基づいて作成された初のガイドラインであり、GRADE法およびRIGHT報告基準に準拠している。ガイドライン作成パネルは、共同議長2人、糖尿病の当事者2人、臨床専門家4人、方法論専門家2人の計10人で構成され、1)糖尿病ディストレスを把握し、掘り下げるための最適な方法とタイミング、2)糖尿病ディストレスの軽減に対する心理的・心理教育的・教育的介入、ピアサポート、テクノロジーを用いた介入の有効性、の2つの臨床上の疑問を検討した。評価に関するGood Practice Statementは2つのリアリストレビュー(1型糖尿病と2型糖尿病それぞれ1つずつ)に基づく専門家のコンセンサスにより、管理に関する推奨はランダム化比較試験(RCT)のシステマティックレビューとメタ解析に基づいて策定された。
評価に関する8つのGood Practice Statementでは、医療従事者に対し、毎回の診察で糖尿病の感情的側面について話し合い、自由回答形式の質問で尋ねること、妥当性・信頼性のある評価ツールを用いることを求めている。評価は少なくとも年1回行うほか、妊娠などのライフイベントや合併症の発症、自動インスリン投与(AID)システムへの移行などの大きな治療変更の際にも行うべきとした。結果にかかわらず本人と一緒に受け止めて話し合い、診療記録に記録して医療チームで共有し、糖尿病ディストレスが高い場合は本人と共同で今後の計画を立てるよう求めている。また、医療従事者が心理的支援を提供する能力を持ち、必要に応じて専門家につなげられることも求めている。
1型糖尿病では、通常治療への心理的介入の追加、血糖自己測定(SMBG)に代わる持続グルコースモニタリング(CGM)の使用、AIDシステムの使用を条件付き推奨とした。AIDシステムは統計学的有意差には至らなかったが、効果の方向は複数の研究でAIDシステムに有利であったとしている。一方、通常治療への心理教育的介入の追加は推奨しないとした。
2型糖尿病では、通常治療への心理的介入、心理教育的介入、教育的介入の追加を条件付き推奨とした。一方、糖尿病ディストレスの軽減を目的としたピアサポート介入の追加、SMBGに代わるCGMの使用は推奨しないとした。
本ガイドラインの限界としては、特に低・中所得国における質の高い試験が少ないこと、非ランダム化研究のエビデンスを除外したことを挙げている。なお、小児・青年、妊娠糖尿病などは対象外である。


