GLP-1受容体作動薬の投与中止後も実臨床では体重変化はわずか 多くの患者ではGLP-1再開あるいは代替治療へ移行

2026.03.26
米国 クリーブランド・クリニックの研究グループは、実臨床においてGLP-1受容体作動薬の投与を中止した過体重および肥満患者のその後の治療と体重変化を調査した結果、中止後1年間の平均体重変化はわずかであったことを報告した。また多くの患者ではGLP-1受容体作動薬の投与再開や代替治療への移行を行っており、それにより体重が維持されていることが示唆された。本研究結果は、2026年3月12日付けで「Diabetes, Obesity and Metabolism」に掲載された。

 GLP-1ならびにGIP/GLP-1受容体作動薬(セマグルチド、チルゼパチド)は、肥満症および2型糖尿病の治療において高い体重減少効果を示すが、実臨床では費用や副作用などの理由による治療の中止も少なくない。過去のRCTでは、これらの薬剤の中止後に減量した体重の大部分が再増加(リバウンド)したことが報告されている。しかし、実臨床において薬剤中止後に、患者がどのような肥満治療を受け、体重がどのように推移するかについては明らかにされていなかった。

 本研究は、米国オハイオ州およびフロリダ州の大規模医療システムの2021年1月1日から2025年6月30日までの電子カルテデータを用いた後ろ向きコホートとして実施された。2021~2023年の間に肥満または2型糖尿病の治療目的で注射セマグルチドまたはチルゼパチドを開始し、その後3〜12カ月の間に同剤を中止した過体重または肥満の成人患者7,938人を対象とした。主要評価項目として、対象薬剤(セマグルチドまたはチルゼパチド)の再開または代替治療の実施状況、ベースラインから薬剤中止時まで、および中止時から中止後1年までの体重変化が設定された。

 解析の結果、薬剤中止後1年間の追跡期間において、全体の19.6%(1,557人)が最初に処方された対象薬剤を再開し、35.2%(2,794人)が何らかの代替の肥満治療を受けていた。代替治療には、他の減量薬の開始(27.4%[2,175人])、医療従事者による生活習慣の改善指導(13.7%[1,088人])、代謝・減量手術(0.6%[50人])が含まれていた。

 ベースラインから薬剤中止までの平均体重変化率は、肥満治療を目的とした群で-8.4%(95%CI:-8.7%〜-8.1%)、2型糖尿病治療を目的とした群で-4.4%(95%CI:-4.7%〜-4.2%)であった。薬剤中止時から1年後の平均体重変化率は、肥満治療群で+0.5%(95%CI:0.0%〜1.0%)、2型糖尿病治療群で-1.3%(95%CI:-1.6%〜-1.0%)であった。

 なお、薬剤中止後の体重変化には、個人レベルで大きなばらつきが見られた。肥満治療群の44.6%は体重維持または減少していた一方で、残りの55.4%は増加していた。同様に、2型糖尿病群においても、56.4%が体重維持または減少していたのに対し、43.6%は増加していた。

 本研究では、実臨床ではセマグルチド、チルゼパチドの投与中止後1年間の平均体重変化はわずかであるとの結果が示された。また多くの患者ではGLP-1受容体作動薬の投与再開や代替治療への移行を行っていたが、このことが、RCTと異なり実臨床では薬剤中止後も体重が維持されている要因になっていることが示唆された。

[ 糖尿病リソースガイド編集部 / 日本医療・健康情報研究所 ]

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