疾患リスク抑制のための身体活動は量だけでなく強度も大切

2026.05.11
身体活動(PA)の実施時間全体に占める高強度身体活動(VPA)の割合(%VPA)が高いほど、交絡因子調整後の慢性疾患罹患リスクが低いという関連があることが報告された。中南大学(中国)のJiehua Wei氏らが、英国の一般住民対象大規模疫学研究「UKバイオバンク」のデータを用いて、%VPAと8種類の疾患リスクおよび全死因死亡との関連について検討した結果、全てのアウトカムで有意な関連が認められたという。詳細は「European Heart Journal」に3月29日掲載された。

 この研究では、UKバイオバンク参加者のうち手首装着型加速度計による測定データを有する9万6,408人と自己申告による身体活動データを有する37万5,730人を対象として解析が行われた。このうち前者の集団は、平均年齢61.9±7.9歳で女性56.3%であり、追跡期間中央値は解析対象疾患により8.8~8.9年の範囲だった。加速度計のデータに基づく機械学習アプローチにより、身体活動を低強度、中強度、高強度の3つに分類し、それぞれの活動量に基づいて%VPAを算出した。%VPAが0%(高強度運動を全くしていない群)、0~2%の群、2~4%の群、4%超の4群に分類し、0%の群を基準として疾患罹患リスクを比較した。

 解析に際しては、年齢、性別、民族、教育歴、飲酒・喫煙・睡眠習慣、食事スコア、睡眠の質、BMI、血圧、血清脂質、腎機能(eGFR)、降圧薬・血糖降下薬・脂質低下薬・抗血栓薬・骨吸収抑制薬・サプリメントの使用などの交絡因子を調整した。その結果、%VPAが4%超の群は0%の群と比較して、検討した全てのアウトカムでリスクが有意に低かった(ハザード比は認知症の0.397〔95%信頼区間0.295~0.533〕から心房細動の0.833〔同0.737~0.940〕の範囲)。

 罹患リスク抑制に対するPAの強度と総身体活動量の寄与の程度は疾患によって異なり、例えば免疫介在性炎症性疾患は強度が20.3%、量が1.0%と最も差が大きかった。主要心血管イベント(強度17.8%、量6.0%)、心房細動(同順に16.2%、5.0%)、慢性呼吸器疾患(21.4%、5.6%)、認知症(32.3%、8.1%)なども、強度の寄与程度が大きかった。一方、2型糖尿病(26.6%、17.7%)、代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(22.1%、16.6%)、慢性腎臓病(23.0%、15.3%)、および全死因死亡(31.4%、14.2%)は、強度と総身体活動量の寄与度の差が比較的小さかった。

 論文の責任著者である同大学のMinxue Shen氏は、「われわれの研究結果は、健康のための身体活動は強度が重要であり、また、リスクを抑制しようとする疾患の種類によって、その重要度が異なることを示唆している」と総括。また、「この知見は、個々人の健康リスクに基づく、より個別化された身体活動の推奨の確立につながっていくのではないか」と述べている

 なお、1人の著者が、慢性疾患予防に関係する運動機器メーカーとの利益相反(COI)を開示している。

[HealthDay News 2026年4月7日]

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