更年期にホットフラッシュの多い女性は糖尿病リスクが高い 血管運動神経症状が2型糖尿病リスクと関連

2024.11.19
更年期の血管運動神経症状が2型糖尿病リスクと関連

 閉経前期から閉経後早期にかけて、ホットフラッシュや盗汗などの血管運動神経症状(VMS)が継続して高頻度に認められる場合、2型糖尿病のリスクが上昇することを示唆する研究結果が「JAMA Network Open」に10月31日、レターとして掲載された。米カイザー・パーマネンテのMonique M. Hedderson氏らが、米国の閉経前期または閉経後早期の女性を対象とする前向きコホート研究(Study of Women’s Health Across the Nation;SWAN)のデータを解析した結果として報告した。

 SWANの参加者は2,761人で平均年齢は46±3歳であり、人種/民族の内訳は白人48.7%、黒人26.7%、日本人9.6%、中国人8.5%、ヒスパニック6.5%。ベースライン時点におけるVMSの出現頻度は、2週間に1~5日の範囲が28%、同6日以上が10%であり、62%はVMSを報告しなかった。

 約13年の追跡期間中に338人(12.2%)が2型糖尿病を発症した。交絡因子(年齢、人種/民族、BMI、喫煙・飲酒・運動習慣、教育歴、閉経ステージ〔閉経前期/閉経後早期〕、研究参加地点など)を調整後に、VMS出現頻度の変化に基づき群分けした解析(group-based trajectory approach)の結果、2型糖尿病発症リスクに以下のような相違が認められた。

 VMSを報告しなかった群を基準として、2週間に1~5日の頻度で出現していた群は調整ハザード比(aHR) 1.30[95%信頼区間1.00~1.70]、同6日以上の群はaHR 1.45[同 1.11~1.95]。

 VMS出現頻度の変化パターンは、4群に分けられた。1群は閉経前期から閉経後早期にかけて一貫してVMS出現頻度が低かった群で全体の26%を占め、閉経前期は高頻度であったものが時間経過とともに低頻度に変化した群が25%、反対に閉経前期は低頻度であったものが時間経過とともに高頻度に変化した群が19%、および一貫して高頻度だった群が31%。

 この4群の2型糖尿病発症リスクは、一貫して低頻度だった群を基準として、時間経過とともに高頻度から低頻度に変化した群はaHR 0.83[0.59~1.16]、時間経過とともに低頻度から高頻度に変化した群はaHR 0.98[0.67~1.44]と、いずれも非有意だった。

 しかし一貫して高頻度だった群はaHR 1.50[1.12~2.02]であり、2型糖尿病発症リスクが有意に高かった。VMSをホットフラッシュと盗汗に分けて解析した結果も同様であり、一貫して高頻度だった群でのみ有意なリスク上昇が観察された(ホットフラッシュではaHR 1.64[1.25~2.17]、盗汗ではaHR 1.86[1.30~2.67])。

 著者らは、「閉経前期から閉経後早期にかけて、頻繁かつ持続的にVMSを呈する女性は、糖尿病予防の対象とすべきハイリスクグループの可能性がある」と述べている。なお、一部の著者が製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を開示している。

[HealthDay News 2024年11月1日]

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