SGLT2阻害薬「フォシーガ」が日本ではじめての慢性腎臓病の治療薬として承認 2型糖尿病合併の有無に関わらず

2021.08.27
 アストラゼネカと小野薬品工業は、アストラゼネカのSGLT2阻害薬「フォシーガ錠5mg、10mg(一般名:ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物)」について、2型糖尿病合併の有無に関わらず、「慢性腎臓病(ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く)」の効能または効果の追加承認を取得したと発表した。フォシーガは、日本ではじめてのCKDの治療薬として承認された薬剤となった。

日本ではじめてのCKDの治療薬として承認された薬剤に

 厚生労働省(厚労省)によるこの承認は、第3相DAPA-CKD試験の肯定的な結果にもとづいている。この承認は、今年初めに厚労省に指定された優先審査にのっとり行われたもの。

 DAPA-CKD試験は、2型糖尿病合併の有無に関わらず、CKDステージの2~4、かつ、アルブミン尿の増加が確認された4,304例を対象に、フォシーガ10mg投与による有効性と安全性をプラセボと比較検討した国際多施設共同無作為化二重盲検第3相試験。複合主要評価項目は、腎機能の悪化もしくは死亡(eGFRの50%以上の持続的低下、ESKDへの進行、心血管または腎不全による死亡)リスクでした。副次評価項目は、腎機能の複合評価項目(eGFRの50%以上の持続的低下、ESKDへの進行、腎不全による死亡)、心血管死もしくは心不全による入院、および全死因死亡のいずれかの初発までの期間だった。同試験は日本を含む21ヵ国で実施され、結果は「New England Journal of Medicine」に掲載された。

 同試験でフォシーガは、CKDステージ2~4、かつ尿中アルブミン排泄の増加を認める患者を対象に、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEi)もしくはアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)との併用で、腎機能の悪化、末期腎不全への進行、心血管死または腎不全による死亡のいずれかの発生による複合主要評価項目のリスクを、プラセボと比較して、39%低下させた(絶対リスク減少率 [ARR]=5.3%、p<0.0001)。また、フォシーガは、プラセボと比較して、全死亡の相対リスクを有意に31%低下させた(ARR=2.1%、p=0.0035)。フォシーガの安全性と忍容性は、これまでに確認されている安全性プロファイルと一貫していた。

 日本でのフォシーガの承認された効能または効果は、「2型糖尿病」、「1型糖尿病」、「慢性心不全(ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る)」、および「慢性腎臓病(ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く)」となった。

 フォシーガは、米国および欧州連合でも2型糖尿病合併の有無に関わらず、CKDの治療薬として承認を取得しており、現在世界のその他の国でも審査が進行中。

 DAPA-CKD試験の日本の治験統括医師であり、日本腎臓学会理事長の柏原直樹氏は次のように述べている。
 「慢性腎臓病患者さんで、2型糖尿病合併の有無に関わらず、腎不全への移行抑制、心血管イベントおよび全死亡に対するダパグリフロジンの有効性が示されました。慢性腎臓病患者さんを対象としたこれまでの試験の中でも画期的な試験であり、ランドマークとなるものです。今回の承認は日本の多くの慢性腎臓病患者さんにとって大きな希望となります」。

Dapagliflozin in Patients with Chronic Kidney Disease(England Journal of Medicine 2020年10月8日)
DAPA-CKD - Dapagliflozin in Patients with Chronic Kidney Disease(ESC Congress 2020 2020年8月29日~9月1日)

フォシーガ錠5mg/フォシーガ錠10mg 添付文書 医療従事者向けガイド (医薬品医療機器総合機構)

[ TERAHATA / 日本医療・健康情報研究所 ]

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