糖尿病合併透析患者におけるCGM使用が死亡リスク低下と関連

2026.08.13
米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)などの研究グループは、糖尿病を合併する透析患者においてCGMの新規導入が、非使用と比較して全死亡リスクの低下と関連するとの研究結果を報告した。米国退役軍人を対象とした後ろ向き観察研究によるもので、研究結果は「Diabetes Care」2026年7月号に掲載された。

 糖尿病と末期腎不全の併存は、心血管疾患の進展や死亡リスクの上昇と関連する。透析患者は、腎における糖新生の低下、糖尿病治療薬の代謝・排泄の低下、併存疾患、透析中の血糖変動などにより低血糖のリスクが高い一方、インスリン抵抗性やブドウ糖含有透析液への曝露により高血糖にも傾きやすい。しかし尿毒症環境下では、HbA1c、フルクトサミン、グリコアルブミンといった従来の指標は非血糖要因の影響を受けるため精度に限界があり、頻回の血糖評価を行う実用的な手段が乏しいことが血糖管理上の障壁となってきた。

 こうした背景から、より包括的かつ連続的に血糖状態を評価できるCGMへの関心が高まっている一方で、透析患者におけるCGMの使用が、死亡率をはじめとするハードエンドポイントの改善に関連するかどうかを評価した臨床データは限られている。

 研究グループは、米国退役軍人省(VA)、米国腎臓データシステム(USRDS)、およびメディケアの連携データを用いて、糖尿病を合併する透析患者におけるCGM使用と全死因死亡リスクとの関連を評価する後ろ向き観察研究を実施した。対象は、2012年1月から2023年12月までの間に透析を受けていた糖尿病患者のうち、透析導入後に新たにCGM(Dexcom、Abbott Freestyle Libre、Medtronic Guardian)を処方された患者(CGM群)と、処方されなかった患者(非CGM群)である。適応交絡に対処するため、人口統計学的背景、併存疾患、薬剤使用、臨床検査値などの多様な因子を用いた傾向スコア(PS)マッチングを実施し、完全ケース分析および多重代入法を用いて、2025年2月までの全死因死亡リスクをCox回帰モデルで比較検討した。

 完全ケース分析による1対1のPSマッチング後のコホート(2,008例、各群1,004例)において、追跡期間中の全死因死亡率は1,000人年当たりCGM群で161.3、非CGM群で186.4であった。傾向スコアの共変量で二重調整を行ったCoxモデル解析の結果、CGMの使用は非使用と比較して全死因死亡リスクの有意な低下と関連していることが示された(調整ハザード比[aHR]0.83、95%CI 0.72~0.92)。さらに、欠損値を補完する多重代入法を用いたPSマッチングコホート(3,088例)においても、同様にCGM使用と全死因死亡リスク低下との有意な関連が認められた(二重調整モデル:aHR 0.84、95%CI 0.73~0.96)。

 また、HbA1cおよび血清トリグリセリド値を傾向スコアモデルに追加した二次解析では、完全ケース分析において統計学的有意水準にわずかに達しなかったものの、多重代入法を用いた解析では、引き続きCGM群における死亡リスクの有意な低下が確認された。

 著者らは、CGM使用が透析患者の生存率改善と関連した機序について、CGMによる低血糖の迅速な検知・予防が致死性不整脈のリスクを低減した可能性や、血糖変動の改善が心血管イベントや感染症のリスクを低下させた可能性を考察している。一方で、本研究は観察研究であるため因果関係を証明するものではなく、残余交絡の可能性も否定できないとしている。

 本研究の結果から、糖尿病合併透析患者におけるCGMの新規導入は、非使用時と比較して生存率の向上と関連することが示唆された。著者らは、死亡リスク低下をもたらす根底にあるメカニズムや、CGMが死亡以外の透析関連アウトカムに与える影響を明らかにするためには、今後さらなる研究が必要であると結論付けている。

[ 糖尿病リソースガイド編集部 / 日本医療・健康情報研究所 ]

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