【米国糖尿病学会2023】週1回注射のGIP/GLP-1/グルカゴン受容体作動薬「Retatrutide」の第2相試験の結果を発表
GIPとGLP-1に加えてグルカゴン(GCG)の3つの受容体を活性化
このトリプル受容体作動薬「Retatrutide」の第2相試験は、肥満症治療での有効性と安全性を検証するために設計されており、成人338人(男性 51.8%)が登録され、Retatrutide群の24週時点での体重の最小二乗平均変化率は、1mg群でマイナス7.2%、4mg併用群でマイナス12.9%、8mg併用群でマイナス17.3%だった。
Retatrutideの最高用量群では、48週時点で体重の24%以上を減少し、また2つの高用量(8mg、12mg)のいずれかを投与した肥満者の100%が、体重の5%以上を減少したとしている。Retatrutideの全体的な安全性と忍容性のプロファイルは、従来のGLP-1受容体作動薬と同等だった。
「最高用量のRetatrutideを投与した肥満症患者は、11ヵ月の治療により平均して体重の4分の1近くを減少し、平均して60ポンド(27.2kg)近くを減少したことは驚くべきことだ」と、イェール大学肥満研究センターのAnia M. Jastreboff所長は述べている。
さらに、NAFLD患者98人を対象としたサブスタディでは、Retatrutideの2つの最高用量の48週間の投与により、肝臓脂肪量が10人中9人で正常化されたとしている。
「この試験では、肝疾患の初期段階で肝臓を"脱脂肪"することが可能であり、肥満による長期的な心臓・代謝・腎臓・肝臓関連の障害を減らすのに役立つ可能性が示された」と、バージニア コモンウェルス大学肝疾患・代謝衛生研究所のArun J. Sanyal所長は述べている。
2型糖尿病患者を対象としたRetatrutideの第2相試験では、2型糖尿病281人が登録された。36週間にわたるRetatrutideの投与により、HbA1cの低下は1.3%~2.0%だったのに対し、対照となったGLP-1受容体作動薬デュラグルチド群では1.4%の低下だった。
8ヵ月の平均体重減少は、Retatrutide 12mgを投与した群で16.9%(17.2kg)だったのに対し、プラセボ群では3.0%(3.3kg)にとどまった。
「これらの減量結果は、2型糖尿病治療の試験でこれまで使用された薬物でもっとも高く、より長期で規模の大きいランダム化比較試験で確認されることを期待している」と、テキサス大学サウスウェスタン校臨床医学部のJulio Rosenstock教授は述べている。
次のステップとして計画されたRetatrutideの第3相試験プログラムでは、肥満と過体重の患者の慢性的な体重管理、閉塞性睡眠時無呼吸症、変形性膝関節症に対する安全性と有効性が評価される予定。
American Diabetes Association Highlights Novel Agent Retatrutide which Results in Substantial Weight Reduction in People with Obesity or Type 2 Diabetes During Late Breaking Symposium (米国糖尿病学会 2023年6月26日)
Triple-Hormone-Receptor Agonist Retatrutide for Obesity - A Phase 2 Trial (New England Journal of Medicine 2023年6月26日)
Is retatrutide (LY3437943), a GLP-1, GIP, and glucagon receptor agonist a step forward in the treatment of diabetes and obesity? (Expert Opinion on Investigational Drugs 2023年4月24日)
The novel GIP, GLP-1 and glucagon receptor agonist Retatrutide delays gastric emptying (Diabetes, Obesity and Metabolism 2023年6月13日)