GLP-1受容体作動薬とSGLT2阻害薬が糖尿病患者のアルツハイマー病・関連認知症(ADRD)のリスクを低減
GLP-1受容体作動薬とSGLT2阻害薬の使用は、2型糖尿病患者のアルツハイマー病・関連認知症(ADRD)のリスク低下と関連することが、米フロリダ大学が2型糖尿病患者39万6,963人を対象とした、ランダム化比較試験(RCT)を模倣したTarget trial emulation試験で明らかになった。
ADRDの発症率は、他の第2選択血糖降下薬と比較して、GLP-1受容体作動薬群で33%、SGLT2阻害薬群で43%、それぞれ減少した。GLP-1受容体拮抗薬とSGLT2阻害薬との比較では有意差はなかった。
「2型糖尿病患者のADRD予防戦略で、GLP-1受容体作動薬とSGLT2阻害が役割を果たす可能性がある」と、研究者は述べている。

GLP-1受容体作動薬とSGLT2阻害に神経保護作用が
GLP-1受容体作動薬とSGLT2阻害薬の使用は、2型糖尿病患者のアルツハイマー病・関連認知症(ADRD)のリスク低下と関連することが、米フロリダ大学が2型糖尿病患者39万6,963人を対象とした、ランダム化比較試験(RCT)を模倣したTarget trial emulation試験で明らかになった。
ADRDの発症率は、他の第2選択血糖降下薬と比較して、GLP-1受容体作動薬群で33%、SGLT2阻害薬群で43%、それぞれ減少した。
GLP-1受容体拮抗薬とSGLT2阻害薬のあいだに有意差はみられず、さまざまな感度解析およびサブグループ解析で結果は一貫していた。
研究は、フロリダ大学薬学部薬学・政策学科のHuilin Tang氏、内分泌・糖尿病・代謝科部門のWilliam Donahoo臨床教授らによるもの。研究成果は、「JAMA Neurology」に掲載された。
「研究結果は、GLP-1受容体作動薬とSGLT2阻害が神経保護作用を有しているというこれまでの報告を支持するもので、2型糖尿病患者のADRD予防戦略で、これらの薬剤が役割を果たす可能性があることを示唆している」と、研究者は述べている。
2型糖尿病患者のADRD予防戦略 GLP-1受容体作動薬とSGLT2阻害に期待
研究グループは、OneFlorida+ Clinical Research Consortiumの電子医療記録データベースに登録された2014年1月~2023年6月のデータを使用し、今回のTarget trial emulation試験を行った。対象となったのは50歳以上の2型糖尿病患者で、ADRDの診断歴がなく、抗認知症薬治療を受けていなかった。
対象となった2型糖尿病患者39万6,963人のうち、3万3,858人についてはGLP-1受容体作動薬と他の血糖降下薬とを比較し(平均年齢 65歳、女性 53.1%)、3万4,185人についてはSGLT2阻害薬と他の血糖降下薬を比較し(平均年齢 65.8歳、女性 49.3%)、2万4,117人についてはGLP-1受容体作動薬とSGLT2阻害薬を比較した(平均年齢 63.8歳、女性 51.7%)。
傾向スコアを用いた逆確率重み付け(IPW)法による解析により、アルツハイマー病・関連認知症(ADRD)の発症率は、GLP-1受容体作動薬群で低く[発症率差(RD) 1000人年あたりマイナス2.26、95%信頼区間 マイナス2.88~マイナス1.64]で、ハザード比(HR)は0.67(同 0.47~0.96)になった。
同様に、SGLT2阻害薬群でも低く[RD 同マイナス3.05、95%CI マイナス3.68~マイナス2.42]、HRは0.57[同 0.43~0.75]になった。
GLP-1受容体作動薬とSGLT2阻害薬のあいだには差はなく[RD 同マイナス0.09、同 マイナス0.80~0.63]、HRは0.97[同 0.72~1.32]になった。
「2型糖尿病患者では、GLP-1受容体作動薬とSGLT2阻害薬はどちらも、他の血糖降下薬と比較して、アルツハイマー病および関連する認知症のリスク低下と統計的に有意に関連しており、両薬剤間に差異は認められなかった」と、研究者は述べている。
GLP-1RA and SGLT2i medications for type 2 diabetes and Alzheimer disease and related dementias (JAMA Network 2025年4月7日)
GLP-1RA and SGLT2i Medications for Type 2 Diabetes and Alzheimer Disease and Related Dementias (JAMA Neurology 2025年4月7日)