【新型コロナ】メトホルミンを使用している患者はCOVID-19罹患後の死亡や後遺症のリスクが低い

2024.09.25
メトホルミンの使用はCOVID-19罹患後の死亡やPASCリスクの低さと関連

 メトホルミンを用いている場合に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患後の死亡や後遺症のリスクが低いことを示唆するデータが報告された。米ミネソタ大学のSteven G. Johnson氏らの研究によるもので、詳細は「Diabetes Care」に9月17日掲載された。

 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の感染前または感染中にメトホルミンが処方された成人患者では、COVID-19の重症化リスクや急性期以降の症状遷延(post-acute sequelae of SARS-CoV-2;PASC)のリスクが低いことが、パンデミック中に行われたいくつかの研究で示されている。

 Johnson氏らは、成人2型糖尿病患者におけるCOVID-19罹患後の死亡やPASC罹患率が、メトホルミン使用の有無で異なっているのか否かを、大規模医療データを用いて検証した。

 この研究は、米国におけるCOVID-19研究のためのデータベース(National COVID Cohort Collaborative;N3C)、および複数の電子健康記録を統合したデータベース(Patient-Centered Clinical Research Network;PCORnet)のデータを利用した、後ろ向きコホート研究として実施された。

 メトホルミン以外の血糖降下薬で治療されていた患者群をアクティブコンパレータとして、メトホルミンが処方されていた患者群のSARS-CoV-2感染後6カ月以内の死亡またはPASCの発生率を比較した。なお、2型糖尿病は、その診断記録がある場合、およびHbA1c6.5%以上の記録がある場合と定義した。

 N3Cの診断コードにもとづく解析で、COVID-19罹患後の死亡またはPASC罹患のハザード比(HR)は0.79[95%信頼区間 0.71〜0.88]であり、臨床データにもとづいてCOVID-19罹患後の死亡またはPASC罹患を判定した場合はHR 0.85[同 0.78〜0.92]であって、ともにメトホルミンが処方されていた患者群でリスクが有意に低かった[いずれもP<0.001]。

 一方、PCORnetの診断コードにもとづく解析ではHR0.87[同 0.66〜1.14]で群間差は有意水準未満であり[P=0.08]、臨床データにもとづく判定ではHR1.04[同 0.97〜1.11]と群間差が認められなかった(P=0.58)。

 なお、PASC罹患率は、診断コードにもとづく判定では、N3Cのメトホルミン群1.6%、対照群2.0%、PCORnetでは同順に2.1%、2.5%であり、臨床データにもとづく判定では、N3Cのメトホルミン群4.8%、対照群5.2%、PCORnetでは24.7%、26.1%だった。

 まとめると、メトホルミンの処方は、COVID-19罹患後の死亡およびPASCの罹患リスクがわずかに低いことと関連していた。

 また、臨床データにもとづくPASC罹患率は、診断コードにもとづく罹患率に比べて、特にPCORnetにおいて高かった。

 著者らは、「これらのデータは、成人2型糖尿病患者に対するメトホルミンの処方が、SARS-CoV-2感染後の良好な転帰と関連していることを示す、他の観察研究の結果と一致している」と総括している。

 なお、数人の著者が製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を開示している。

[HealthDay News 2024年9月19日]

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