SGLT2阻害薬とGLP-1薬にアジア人でより高い心血管保護効果 糖尿病の心血管リスクを低下 白人と比較したメタ解析

2021.04.22
 SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬による心血管ベネフィットについて、アジア人と白人で比較したメタ解析の結果を、英国のグラスゴー大学などが発表した。
 SGLT2阻害薬では、駆出率が低下した心不全(HFrEF)患者での心血管死亡/入院について、アジア人は白人に比べ、得られるベネフィットが大きいことが示された。
 また、GLP-1受容体作動薬では、2型糖尿病患者で主要有害心血管イベント(MACE)について、やはりアジア人は白人よりも得られるベネフィットが大きかった。研究成果は、「Diabetes Care」に3月11日オンライン掲載された。
 日本でも一部のSGLT2阻害薬については、慢性心不全での使用が承認されている。

SGLT2阻害薬がアジア人の心不全でより有利なアウトカムを示す
GLP-1受容体作動薬は心血管イベントを抑制

 研究は、SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬を無作為プラセボ対照した心血管アウトカム試験(CVOTs)を解析したもので、選択基準となったのは、アジア人と白人における、(1)糖尿病患者の主要有害心血管イベント(MACE)、(2)心不全による心血管死亡/入院(HHF)および駆出率低下心不全(HFrEF)。ハザード比(HR)と95%信頼区間(95%CI)が報告された。

 各試験のアジア人と白人の上記アウトカムのHRと95%CIは、システマティックレビューとメタアナリシスのガイドラインに従い、ランダム効果モデル(Dersimonian-Laird法)のメタ解析により求められた。

 SGLT2阻害薬では、2型糖尿病を対象とした4件の試験が同定され、対象となったのはアジア人が3,298例、白人が2万258例だった。MACEのアウトカムHRは、アジア人で0.81(95%CI:0.57-1.04)、白人で0.90(95%CI:0.80-1.00)だった(P交互作用=0.46)。

 また、2件の試験は駆出率低下心不全(HFrEF)患者が対象で、アジア人が1,788例、白人が5,962例。心不全による心血管死亡/入院(HHF)のHRは、アジア人で0.60(95%CI:0.47-0.74)、白人で0.82(95%CI:0.73-0.92)だった(P交互作用=0.01)。

 GLP-1受容体作動薬では、6件の試験が同定され、対象となったのはアジア人が4,195例、白人が3万7,530例だった。MACEのアウトカムHRは、アジア人で0.68(95%CI:0.53-0.84)、白人で0.87(95%CI:0.81-0.94)だった(P交互作用=0.03)。

 研究グループは研究について、個々の患者レベルのデータがなく、比較的短期間の観察試験であり、対象となったアジア人集団は複数の国から抽出されており人種的な構成が均一でないなど限界があるとしながらも、「アジア人は白人に比べ、駆出率が低下した心不全(HFrEF)患者での心血管死亡/入院では、SGLT2阻害薬によるベネフィットが大きく、2型糖尿病患者でのMACEでは、GLP-1受容体作動薬によるベネフィットが大きい可能性がある」と結論している。

 グラスゴー大学心血管医療研究所代謝学教授であるNaveed Sattar氏は、血糖降下薬として一般的に使用されているSGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬について、「このクラスの薬剤は唯一、心血管系の転帰に対し一貫してベネフィットをもたらすことが示されている」と述べている。

 「アジア(南、東、南東アジア)人は、白人に比べ、2型糖尿病によるより大きな負担を経験しており、心血管リスクを低下させる新しい治療法が望まれている。このクラスの薬剤が、アジア人糖尿病患者の心臓発作や脳卒中のリスクを低下させるために有用であることが示された意義は大きい」と述べている。

 「アジア人でSGLT2阻害薬が、心不全において潜在的により良いアウトカムを示したことは興味深い。今後は、調査結果がアジアの背景をもつすべての人々に当てはまるのかを確かめるため、アジア人を異なるサブグループに分類して検討していく必要がある」としている。

Two new diabetes drugs may work better in Asian people(グラスゴー大学 2021年5月12日)
Meta-analyses of results from randomized outcome trials comparing cardiovascular effects of SGLT2is and GLP-1RAs in Asian versus white patients with and without type 2 diabetes(Diabetes Care 2021年3月11日)

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