糖尿病患者も週末にまとめて行う運動で死亡リスク低下

2025.08.21

糖尿病患者の身体活動のパターンと死亡リスクとの関連が報告された。毎日運動を行うようなパターンだけでなく、週末にまとめて運動を行うようなパターンも、全死亡や心血管死のリスク低下と関連しているという。米ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院のZhiyuan Wu氏らの研究によるもので、詳細は「Annals of Internal Medicine」に7月22日掲載された。

 糖尿病ではない一般集団においては、時間に余裕のある週末にまとめて運動を行う、いわゆる“週末戦士”と呼ばれる身体活動パターンであっても、死亡リスクが低下する可能性が示されている。しかし、糖尿病患者での検討はこれまで十分行われていなかった。これを背景として実施されたWu氏らの研究では、1997~2018年の米国国民健康面接調査(NHIS)のデータを利用。前向きコホート研究として、週末戦士に該当するパターンを含む成人糖尿病患者のさまざまな身体活動パターンと、死亡リスクとの関連を検討した。

 この研究では、成人糖尿病患者5万1,650人を、身体活動の頻度と量に基づき以下の4群に分類した。一つ目は中~高強度運動(MVPA)を行っていない「非運動群」、二つ目はMVPAが週150分未満の「運動不足群」、三つ目はMVPAの頻度が週3回以上で150分以上の「習慣的運動群」であり、四つ目はMVPAの頻度が週1~2回で150分以上の「週末戦士群」。この4群の全死亡、心血管死、がん死の発生を中央値9.5年間追跡したところ、合計1万6,345人の死亡(心血管死5,620人、がん死2,883人を含む)が記録されていた。

 非運動群を基準とする解析の結果、週末戦士群は全死亡リスクが21%、心血管死リスクが33%低いことが示された。詳細は以下のとおり。

 全死亡リスクについては、多変量調整後のハザード比(95%信頼区間)が、運動不足群は0.90(0.85~0.95)、習慣的運動群は0.83(0.78~0.87)、週末戦士群は0.79(0.69~0.91)であり、何らかのパターンで身体活動を行っている3群はいずれもリスクが有意に低かった。心血管死リスクについては、運動不足群が0.98(0.89~1.07)、習慣的運動群が0.81(0.74~0.88)、週末戦士群が0.67(0.52~0.86)であり、運動不足群を除く2群で有意なリスク低下が認められた。がん死リスクに関しては、運動不足群0.88(0.78~1.00)、習慣的運動群0.85(0.75~0.96)、週末戦士群0.99(0.76~1.30)だった。

  著者らは、「これらの結果は、糖尿病患者にとってあらゆるパターンの身体活動が重要であることを強調するものである」と述べている。

(HealthDay News 2025年7月22日)

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