【新型コロナ】医師の9割がワクチンを「接種するだろう」と回答 ワクチンの「情報が不足している」との声も多い
医師のワクチン接種意向は、「接種するだろう」がすでに接種済みと合わせると9割に達した。ワクチン接種が始まる前の昨年10月時点では6割弱にとどまっていた。
一方で、ワクチンに関する「情報が不足している」との声も多く、「スケジュール」「ロードマップ」「1回だけでも良いか否か」「日本人のワクチン有効性」「副反応」などの情報を求める声が多い。
コロナ以前の生活に戻るために必要なこととしては、「誰もが接種可能になること」(58%)、「集団免疫状態になること」(57%)、「効果の高い治療薬が(開発)承認されること」(56%)が多く挙げられた。
医師のワクチン接種意向は高まっている 9割が「接種するだろう」
医療機関検索サイト「病院なび」を運営するeヘルスケアは、医師を対象に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するアンケート調査を実施した。調査は、2021年2月24日~3月2日に実施し、同サイトの会員である全国の病院・診療所の勤務医および開業医の計555人が回答。
COVID-19ワクチンについては、開発期間の短さから副反応などを懸念する声がある。調査では、国内でも接種が始まったワクチンについて、医師がどのように評価しているかが尋ねられた。
その結果、ワクチンを「接種するだろう」(接種するだろう、まあ接種するだろう)と回答した医師は、既に接種済みを合わせて9割に上り、国内外ともにまだワクチン接種が始まっていなかった2020年10月時点での6割弱を大きく上回った。医師自身のワクチン接種意向は高まっていることが示された。
さらに、患者へのワクチン接種推奨意向も、「勧めるだろう」(全ての人に、高リスクの人に)が83%に上り、10月時点での61%から20ポイント以上増加した。接種を勧める対象としては、「全ての人に」は54%、「高リスクの人に」が29%で、全ての人にワクチン接種を勧める医師が多数派になった。
患者からワクチンについて聞かれても「答えようがない」
医師に患者を診る上で不足している情報を尋ねたところ、COVID-19ワクチンに関する「情報が不足している」との声が多く聞かれた。
具体的には、「スケジュール」「ロードマップ」「1回だけでも良いか否か」「日本人のワクチン有効性」「副反応」などについての情報を求める医師が多かった。
また、ワクチンについて広く報道されているなかで、「(患者から)ワクチンに対しての質問が多いが、具体案が決まっておらず答えようがない」「ワクチンに関する情報をマスコミ報道より早く欲しい」などの声もあがった。
ワクチン以外では、「感染する可能性のある行動について(患者が)話してくれない」「検査必要者の明らかな定義がない」「地域の対応可能医療機関の情報」などが挙げられ、治療や検査、医療機関連携についても不足している情報があることが示唆された。
「誰もがワクチン接種が可能になること」が条件
以前の生活に戻るために必要なこととして、もっとも多く挙げられたのは、国内でも接種が始まったワクチンを「誰もが接種可能になること」(58%)だった。次いで、「集団免疫状態になること」(57%)、「効果の高い治療薬が(開発)承認されること」(56%)が、過半数から選択された。
ワクチンや治療薬で対処できることが不可欠と考える医師が多い一方で、コロナ禍が長期化するなか「以前の生活には戻れない」と考える医師は、微増傾向にあるものの8%にとどまった。
半数の医療機関が「診療・検査医療機関」に指定
国は、2020年9月に「診療・検査医療機関」の指定を開始し、「医療機関が発熱患者等専用の診察室などを設け、発熱患者等を受入れる場合に、その体制確保に要する経費を支援し、インフルエンザ流行期でも十分に発熱患者等に対応できる体制を各地域で確保」する仕組みを準備してきた。
これは実質的に、COVID-19の感染拡大時に向けた医療提供体制の確保が狙いとみられる。そこで、医師に勤務先の医療機関がこの「診療・検査医療機関」の指定を受けているか聞いたところ、「すでに指定されている」は約半数だった。
多くの医療機関がCOVID-19に対して医療を提供する意向があることが示唆された。指定済みまたは申請中の医療機関のうち、実際に検査や治療を実施している割合は9割以上に達し、医療崩壊を防ぐために協力していたことが分かった。
また、「院内感染対策ができているか」を尋ねたところ、「できている」と答えた医師は6割を超えた。具体的な感染対策内容・方法が周知され、「診療・検査医療機関」の指定も相まって、COVID-19患者を受け入れる医療機関側の体制の裾野は広がりつつあることが示唆された。