【新型コロナ】1回接種で効果のあるCOVID-19ワクチンの第3相試験中間解析を発表 重症疾患への予防効果は85% ジョンソン・エンド・ジョンソン
2021.02.03
ジョンソン・エンド・ジョンソンは2月1日、第3相ENSEMBLE臨床試験から得られたトップライン有効性・安全性データを発表し、ヤンセンで開発中のCOVID-19単回投与ワクチン候補が、すべての主要評価項目および主な副次評価項目を満たしていることを示した。この有効性および安全性のデータは、4万3,783例の被験者(468件のCOVID-19症候性症例を含む)にもとづいている。
ワクチン候補接種後28日以降での重症疾患の予防効果は全体で85%で、COVID-19感染症による入院および死亡に対しては被験者の全員に予防効果を確認した。
南アフリカで検出されたB.1.351系統由来のSARS-CoV-2変異種を含む複数の変異種に対する重症疾患の予防効果も確認した。*
ワクチン候補接種後28日以降での重症疾患の予防効果は全体で85%で、COVID-19感染症による入院および死亡に対しては被験者の全員に予防効果を確認した。
南アフリカで検出されたB.1.351系統由来のSARS-CoV-2変異種を含む複数の変異種に対する重症疾患の予防効果も確認した。*
* 1B.1.351系統は501Y.V2変異および20H/501Y.V2(旧20C/501Y.V2)としても知られておりCOVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2の変異種。
重症疾患への予防効果は85% 28日以降に被験者の全員に予防効果
第3相ENSEMBLE試験は、18歳以上の成人を対象に、1回接種ワクチンの安全性と有効性をプラセボと比較して評価するために設計された無作為化、二重盲検、プラセボ対照臨床試験。 ENSEMBLE試験は、中等症から重症のCOVID-19感染症予防におけるヤンセンのワクチン候補の安全性と有効性を評価するために設計され、接種後14日以降および28日以降の有効性の評価を2つの主要評価項目(コプライマリ・エンドポイント)とした。 全世界の被験者のうち59%が白人、45%がヒスパニック系および/又はラテン系、19%が黒人/アフリカ系アメリカ人、9%がアメリカ先住民で、3%がアジア人。米国では、74%が白人、15%がヒスパニック系および/又はラテン系、13%が黒人/アフリカ系アメリカ人;6%がアジア人、1%がアメリカ先住民。 同試験の参加者の41%は、重症化するリスク増加に関連する併存疾患を有しており(全体41%、肥満(28.5%)、2型糖尿病(7.3%)、高血圧(10.3%)、HIV(2.8%))、他の免疫不全患者も同試験に参加した。 このワクチン候補は、1回接種後28日以降の、全試験対象地域の全成人被験者(18歳以上)において、重症疾患への予防効果が85%だった。重症疾患に対する有効性は経時的に増加し、49日目以降は、ワクチン接種者において重症例は報告されなかった。 また同ワクチン候補は、COVID-19感染症による入院および死亡に対して、ワクチン接種後28日以降に被験者の全員に予防効果を示した。医学的介入を要するCOVID-19の症例(入院、集中治療室(ICU)入室、人工呼吸器、体外式膜型人工肺(ECMO)使用)に対するワクチンの明らかな効果が認められ、1回接種後28日以降で、同ワクチン候補の接種を受けた被験者に、そのような症例は報告されなかった。 「私たちの1回接種COVID-19ワクチン候補によるこれらの良好な結果には期待を持つことができます。わずか1回の予防接種で効果的かつ忍容性の高いワクチンを提供することにより、重症化の負担を大幅に軽減できる可能性は、世界的な公衆衛生対策で重要な役割を果たします」と、ジョンソン・エンド・ジョンソンの執行委員会副会長兼最高科学責任者のポール・ストッフェルス医学博士は述べている。 「世界保健機関は、1回接種ワクチンがアクセス、流通およびコンプライアンスを向上させ、パンデミック状況における最良の選択肢であると考えています。重症疾患での85%の有効性と医学的介入を要するCOVID-19感染症の予防は、COVID-19感染症の重篤かつ致死的な転帰から数億人を守る可能性を示しており、医療制度や医療現場の大きな負担の軽減にもつながると期待されています」。 同試験における重度のCOVID-19疾患の定義は、臨床検査で確認されたSARS-CoV-2および以下のうち1つ以上が確認された症例だ:重度の全身疾患と一致する徴候、集中治療室(ICU)への入室、呼吸不全、ショック、臓器不全又は死亡等。 また、中等度COVID-19疾患の定義は、臨床検査で確認されたSARS-CoV-2および以下のうちの1つ以上が確認された症例:肺炎の所見、深部静脈血栓症、息切れ又は93%を下回る血中酸素飽和度異常、呼吸数異常(20以上);又はCOVID-19を示唆する複数の全身症状。 予防効果は人種、60歳以上の成人(13,610人)を含む年齢、対象となった全変異種や地域を問わず、概ね一貫していた。B.1.351系統のSARS-CoV-2変異種の感染がCOVID-19のほぼ全症例(95%)を占めていた南アフリカでも同様の結果だった。新興ウイルス変異種を含む予防効果は全体で66%
第3相ENSEMBLE試験の結果には、米国、ラテンアメリカ、南アフリカに存在するいくつかの非常に感染力の強い変異種を含む、コロナウイルスの新たに出現した株に対する有効性が含まれている。第3相ENSEMBLE試験は、このパンデミックが世界的に拡大し、ウイルス感染が増加している時期に、世界8か国・3地域で実施されている。 同ワクチン候補の、新興ウイルス変異種への感染例を含むさまざまな地域の被験者で、接種後28日以降の中等症から重症のCOVID-19感染症の予防効果は、全体で66%だった。またその予防効果は、接種後14日という早い段階で確認された。中等症から重症のCOVID-19感染症の予防率は、ワクチン接種後28日以降で、米国で72%、ラテンアメリカで66%、南アフリカで57%だった。 「これらの結果は、COVID-19ワクチン候補臨床プログラムに関与してくださった全ての方々の並々ならぬ努力の証しであり、治験スタッフおよび治験参加者の皆様の多大なる貢献に私たちは非常に感謝しています」とヤンセン・リサーチ&ディベロップメントのマタイ・マメン医学博士は述べている。 「パンデミックの軌跡を変えるには、集団免疫を獲得するための大規模なワクチン接種が必要です。予防効果の発現が速く、配送・貯蔵が容易な1回投与のワクチンは、非常に多くの人にとっての解決策となる可能性があります。入院と死亡を予防する能力は、パンデミックとの闘い方の流れを変えうると思います」。 第3相ENSEMBLE試験の被験者には、安全性および有効性の評価のために最長2年間追跡調査を継続するという。そのため、これらのデータは進行中の解析にもとづいて更新される。包括的データセットは、数週間以内に医学雑誌に提出される予定。重大な安全性の懸念は報告されず 2~8℃で3ヵ月間安定して保存できる
同試験の解析には、独立した専門家グループであるデータ安全性監視委員会(DSMB)による第3相ENSEMBLE試験の安全性データの同時審査が含まれており、この委員会からワクチンに関連する重大な安全性の懸念は報告されなかった。有害事象のレビューでは、ヤンセンCOVID-19ワクチン候補の1回投与の忍容性はおおむね良好であることが示された。 この安全性プロファイルは、ヤンセンのAdVac®技術を使用し、これまでに20万人を超える人々の間で投与された他のワクチン候補と一致していた。全体の発熱の発現率は9%、グレード3重度の発熱は0.2%だった。報告されたすべての重篤な有害事象(SAE)は、実薬ワクチン候補群と比較してプラセボ群で高い結果だった。また、アナフィラキシーは認められなかった。 さらに、このワクチン候補は標準的なワクチン流通手段に対応している。承認された場合、ヤンセンの1回接種ワクチン候補は-20℃(-4°F)で2年間安定保存可能と想定され、少なくとも3ヵ月間は2~8℃(36°F-46°F)で安定保存することができる。同社は、他の革新的な医薬品を輸送するために現在使用しているものと同じ低温輸送技術を使用してワクチンを輸送する予定。 同社は、米国での緊急使用許可(EUA)を2月上旬に申請する意向であり、承認後直ちに製品を出荷できる見込みだ。承認が確保され、契約が最終化されれば、ワクチン展開に関するより多くの情報を共有する予定。同社が想定する製造タイムラインにより、政府機関および国際的組織との契約を含め、2021年の供給義務を果たしていくとしている。 ジョンソン・エンド・ジョンソンヤンセンファーマ
[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]