1型糖尿病を根絶する先進的な研究を支援 クラウドファンディングを展開中 日本IDDMネットワーク
2020.05.27
1型糖尿病の根絶を目指す認定NPO法人「日本IDDMネットワーク」は、新たな研究助成を目指し、広く支援を呼びかけている。これまでに実施したクラウドファンディングは、着実に成果を上げている。

難病で苦しむ子どもたちをこれ以上増やさないために~ワクチン開発をご支援ください~
日本IDDMネットワーク
1型糖尿病の発症のメカニズムはまだ解明されていないが、ウイルス感染がその原因の1つだと考えられている。このプロジェクトでは、1型糖尿病を引き起こすウイルスをみつけだし、ワクチンを開発することを目指している。
研究を主導している永淵正法・佐賀大学医学部肝臓・糖尿病・内分泌内科特任教授らは、糖尿病を起こすウイルスを高い感度でみつけることのできる動物モデルを開発するのに成功。研究は現在、どのウイルスが原因となるのかをみつける段階に入っている。
予防ワクチンの開発へつなげるために、多くの実験が必要で、研究資金も必要となる。「1型糖尿病が原因で、多くの子どもたちが苦しんでいます。1型糖尿病の発症を防ぐことが、根本的な解決策になります。子どもたちの笑顔を守るために、ご支援をお願いします」と、同NPO法人は呼びかけている。
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子どもたちに"治る"希望を届ける―iPS細胞から膵臓を作る世界注目のプロジェクト―
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このプロジェクトは、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使い、自身の膵臓とまったく同じ機能をもった膵臓を作り出そうというもの。iPS細胞は体の中のどの組織にもなれる「万能細胞」。東京大学の研究チームは、患者自身のiPS細胞を使い膵臓を作る技術の確立を目指している。
山口智之・東京大学医科学研究所幹細胞治療部門准教授らが挑戦しているのは、「胚盤胞補完法」という技術を使って動物体内にヒトの膵臓を作りだす試みだ。
東京大学はすでに、ラットの体の中にマウスのiPS細胞由来の膵臓を作ることに成功している。この膵島を糖尿病のマウスに移植すると、免疫抑制剤なしで、血糖値を正常に保てるようになった。
iPS細胞から作った膵臓を移植できるようになれば、1型糖尿病の子どもや家族は病気の不安から解放される。同NPO法人は、日本が世界に先駆けてこの研究を成功させるために、広く支援を呼びかけている。
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(左から)大村詠一・日本IDDMネットワーク副理事長、
小玉正太・福岡大学医学部教授(再生医学研究所長)、朔啓二郎・福岡大学学長
1型糖尿病の「予防+治療+根治」の実現に向けて
日本IDDMネットワークは、全国の1型糖尿病の患者・家族を支援し、一刻も早い「根絶(=予防+治療+根治)」の実現により1型糖尿病による生涯の負担から解放することを目的に活動している認定NPO法人。 1型糖尿病は、インスリンを産生するβ細胞が攻撃・破壊されることで発症する疾患。原因不明で、小児期に突然発症することが多い。現在の医療では、生涯にわたり毎日4~5回の注射、またはポンプによるインスリン補充が必要となる。 糖尿病の大半を占め生活習慣病と言われる2型糖尿病に対し、1型糖尿病の日本での年間発症率は10万人当たり1.5~2.5人と希少であり、患者と家族の精神的・経済的負担は大きい。同NPO法人は、こうした患者の負担をなくすことを目指して活動を展開している。 関連情報「1型糖尿病研究基金」のサポートを呼びかけ
同NPO法人は、1型糖尿病の根治治療が1日も早く実現するよう、研究のサポートをする募金を呼びかけ、支援するサポート会員も募集している。 同NPO法人は、2005年に「1型糖尿病研究基金」を設立、2014年より佐賀県庁への「日本IDDMネットワーク指定ふるさと納税」に取り組み、これまで83件、4億850万円の研究費助成を行ってきた(本年度末(6月30日)までの助成予定を含む)。 1型糖尿病研究基金は、1型糖尿病の根絶を目指す先進的研究に対し、研究費を助成するもの。5月8日には、第14回研究費助成として4テーマを決定した。 財源としているのは、1型糖尿病の患者や家族、支援者からの基金への寄付と、佐賀県庁へのふるさと納税だ。ふるさと納税の運営母体は自治体であり、クラウドファンディングでは具体的な寄付金の使い道を指定して寄付ができ、税金の控除も受けられ、お礼の品をもらうこともできる。 また、認定NPO法人である日本IDDMネットワークへの寄付は、税制優遇の対象となる。同NPO法人は、先進研究の推進や治療法の開発のために活動しており、「日本の寄付文化を変えた」と大きく注目されている。
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[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]