【新型コロナウイルス】SARS-CoV-2ウイルス抗体を検出する検査薬を開発

2020.04.23
 ロシュは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発症者で産生されたSARS-CoV-2ウイルス抗体を検出する検査薬「Elecsys Anti-SARS-CoV-2」を開発した。
 抗ウイルス抗体の検出により、SARS-CoV-2ウイルスに対する免疫獲得が示唆される患者の見極めが可能になる。5月初旬までに、CEマークの取得および米食品医薬品局(FDA)による緊急使用許可(EUA)の取得を目指している。

6月までに毎月数千万テスト分の生産を目指す

 ロシュは、SARS-CoV-2に暴露した人の抗体を検出する検査薬「Elecsys Anti-SARS-CoV-2」の開発と上市予定を発表した。

 抗体検査は、ウイルスの感染、とくに感染した可能性があるが症状が発生しなかった人を判別するのに役立つ。さらに、医療従事者や飲食提供者などの感染リスクの高い職業に従事する人に対して、免疫獲得の状態を判断することで、業務従事の可否を判断する一助になる。今後のCOVID-19に対する免疫獲得の機序解明により、この検査が社会的混乱の収束に役立つ可能性がある。

 「Elecsys Anti-SARS-CoV-2」は、血清および血漿中のSARS-CoV-2に対する抗体を検出し、このウイルスに対する免疫反応状態を判断する体外診断用医薬品で、ロシュの免疫分析装置によって検査できる。約18分の測定時間で、1時間当たり最大300テストの測定が可能だ。

 この検査薬は、血清および血漿中のSARS-CoV-2に対する抗体(IgGを含む)を検出する体外診断薬用のイムノアッセイであり、新型コロナウイルス感染による免疫能獲得の存在を示唆する抗ウイルス抗体を検出することができる。

 抗体検査は、ウイルス感染がもたらす疾患症状の拡散状況を把握するための疫学的研究や、遺伝子検査と併用してウイルス感染が疑われる人に対する診断にも役立つと考えられる。

 同社は、5月初旬に同検査薬のCEマーク取得ならびに米食品医薬品局(FDA)の緊急使用許可(EUA)の取得を目指している。また、6月までに毎月の生産量を数千万テストにする計画を立てている。

 「抗体検査は、COVID-19との闘いにおいて重要な次のステップとなります。ロシュの分析装置は既に世界中に設置されており、本抗体検査は今後すぐに、広く使用されていくでしょう」と、同社では述べている。

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