MODY(若年発症成人型糖尿病)の原因遺伝子を特定 EASD-ノボ ノルディスク財団糖尿病賞

2016.09.23
第52回欧州糖尿病学会(EASD)

 「EASD-ノボ ノルディスク財団糖尿病賞」の受賞者が、9月にミュンヘンで開催された欧州糖尿病学会(EASD)第52回年次学術集会で発表された。英国のエクセター大学のAndrew Hattersley教授が、若年発症成人型糖尿病(MODY)の原因遺伝子を特定した業績が評価され受賞した。

遺伝子変異に基づく正確な治療を可能に

 エクセター大学分子医学部教授で、ロイヤルデヴォン&エクセターNHS財団トラストの糖尿病コンサルタントを務めるAndrew Hattersley氏は、1995年にエクセター大学に着任、遺伝学研究室を開設し、糖尿病の遺伝子タイプを特化する研究を開始した。若年発症成人型糖尿病(MODY)の原因遺伝子として現在までに15種類を特定、さらに遺伝子検査サービスを開設し、英国のNHSに加えて87ヵ国の糖尿病患者の検査を行ってきた。

 MODYは、常染色体優性で発症する糖尿病であり、糖代謝に関わる単一遺伝子の機能障害(遺伝子変異、遺伝子全体 あるいは一部の欠失などによる)が原因となり発症する。MODYの発症は通常25歳以下で起こり、肥満がなく、若年発症の糖尿病家族例がある場合がほとんどだ。主たる病態は膵β細胞のインスリン分泌不全で、病因に自己免疫は関与していないために。膵島関連自己抗体は検出されない。

 一般の糖尿病は、多数の遺伝因子と環境因子の相互作用によって発症するが、一部の糖尿病はある特定の遺伝子の異常の有無で発症するかしないかがほぼ決定される。このようなタイプの糖尿病が単一の遺伝子異常による糖尿病であり、MODYは単一遺伝子の異常によって発症する糖尿病の代表だ。

 欧米における白人のMODYでは、糖尿病の程度が軽く、また網膜症や腎症などの細小血管症がおこりにくく、また進行しにくいということが報告されている。Hattersley教授によると、もっとも劇的な症例では糖尿病と診断されて6ヵ月以内で、インスリン療法を一生続けることが予想されていたが、経口薬のみで良好な血糖コントロールが可能であることが示された。

 「Hattersley教授はMODYの診断と治療に革命をもたらした。糖尿病のこのサブグループにおいて、遺伝子検査により個人の遺伝子変異に基づく精密な医学的アプローチと治療法の決定を可能になった」と、欧州糖尿病学会(EASD)のJuleen Zierath教授は述べている。
2016 EASD-Novo Nordisk Foundation Diabetes Prize for Excellence
Exeter professor awarded prestigious diabetes prize(エクセター大学 2016年9月6日)

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