『脳心血管病予防に関する包括的リスク管理チャート2015』を読み解く
糖尿病専門医による知見を集約したコーナー「糖尿病情報スクランブル」では、糖尿病合併症の話題を集約した「Diabetic Complication Topics」を公開しました。創刊となる第1回は、「 『脳心血管病予防に関する 包括的リスク管理チャート2015』を読み解く」と題して、寺本民生先生(帝京大学名誉教授、同大学臨床研究センター長、 寺本内科・歯科クリニック院長) に解説していただきます。「Diabetic Complication Topics」へ ▶
Diabetic Complication Topics 第1回(本文より)
「『脳心血管病予防に関する包括的リスク管理チャート2015』を読み解く」
──このチャート作成の意図をお聞かせください。
寺本先生 糖尿病や脂質異常症、高血圧、CKD(慢性腎臓病)、肥満・メタボリックシンドロームなどは、どの診療科でも診ることになる common diseaseです。これらはいずれも脳心血管病のリスク因子であり、かつ、一人の患者さんに複数併存していることが少なくありません。そのため多くの先生方が、必ずしも専門ではない領域の疾患を含めて管理されています。一次予防の第一線におられる実地医家の先生方には、特にその負担が大きいであろうと考えられます。
もちろん、各学会の疾患ガイドラインには脳心血管病予防の解説に多くのページが当てられていて、診療の助けになります。ただ、それらのガイドラインは各々が大部なものですから、多忙な先生方がその内容を細大漏らさず頭に入れておくことは現実的ではないと思います。また以前から、ガイドラインの内容の細部において、表現法などの不整合があることが指摘されていました。 そこで各ガイドラインのエッセンスを統合して一つの管理手順を作ろうという機運が生まれたのが、本チャート発行の背景です。