インスリン製剤の特徴と服薬指導のポイント 糖尿病情報スクランブル
糖尿病診療に携わる皆さんに、関連するさまざまなテーマについて述べた記事、専門的な情報を集約し、紹介している「糖尿病情報スクランブル」の連載「糖尿病治療薬の特徴と服薬指導のポイント」を更新しました。
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「糖尿病治療薬の特徴と服薬指導のポイント」では、日本糖尿病学会認定専門医であり、同学会の認定指導医でもある、加藤内科クリニック院長の加藤光敏先生に、ご自身の知識と経験を踏まえた服薬指導のポイントを、わかりやすく解説していただきます。
今回から新章「インスリン製剤」がスタート。全4回(予定)にわたり、その特徴と服薬指導についてお伝えしていきます。
第17回 インスリン製剤(1)(本文より)
今回から、インスリン製剤(以下略:インスリン)を取り上げます。もし我々の体の中でインスリンが枯渇したとしたら、高血糖により1週間で命が危険にさらされます。いまでは当たり前となったインスリン療法ですが、先人の長い苦労の賜物であることを忘れてはなりません。まずは、その歴史を振り返ります。
インスリンの歴史は、競争と栄光の歴史です。1889年、ドイツのオスカル・ミンコフスキーは膵切除術をした犬の尿にハエが寄ってくることに気づき分析をしたところ、 多くの糖が含まれていることを明らかにしました。この犬は糖尿病を発症していたのです!これが膵臓と糖尿病との深い関係の発見となりました。1901年には、米国の病理学者ユージン・オピーによりランゲルハンス島との関連が証明されました。その後多くの研究が行われ、ルーマニアの科学者ニコラス・パウレスコのように膵抽出物で血糖値を低下させ、インスリンの発見と言って良いほどの研究を1920年に行っています。これはカナダグループに先駆けたものであったことが知られています。