長時間作用型GLP-1受容体作動薬「dulaglutide」などの治験結果を発表

2013.05.22
第56回日本糖尿病学会年次学術集会

第56回日本糖尿病学会年次学術集会

 日本イーライリリーは、第56回日本糖尿病学会年次学術集会(5月16日~18日、熊本市)で、リリー社が開発中の新規糖尿病治療薬候補2剤の治験結果について発表した。
 「dulaglutide」は長時間作用型GLP-1受容体作動薬で、「LY2409021」は新規選択的グルカゴン受容体拮抗薬。2剤の治験結果は以下の通り――

・ 日本人2型糖尿病患者でのdulaglutideの血糖コントロールに関する用量-反応関係の検討(プラセボ対照無作為化2重盲検比較試験)
目的:日本人2型糖尿病患者におけるdulaglutide(長時間作用型GLP-1受容体作動薬)週1回皮下投与の用量-反応関係を評価した。
方法:食事/運動療法または経口血糖降下薬単剤療法で効果が十分でない日本人2型糖尿病患者に対して、プラセボまたはdulaglutide(0.25、0.5または0.75 mg) を週1回皮下投与した。
結果:145例[年齢(平均±SD):52.17±8.82歳、HbA1c(平均±SD):8.00±0.64%]に治験薬が投与され、138例が完了した。12週後でのHbA1cのベースラインからの平均変化量はプラセボ、0.25、0.5、0.75 mg群の順に-0.18%、-0.90%、-1.15%、-1.35%であり、dulaglutideの用量依存的な血糖降下作用が確認された (p<0.001)。有害事象発現例の割合にプラセボ群とdulaglutide各群の間に統計学的な有意差は認められなかった。
結論:dulaglutide 0.75 mgの週1回皮下投与は全般的に忍容であり、日本人2型糖尿病患者での臨床推奨用量になると考えられた。

・ グルカゴン受容体拮抗薬LY2409021を日本人2型糖尿病患者に28日間経口投与したときの血糖降下作用
目的:日本人2型糖尿病患者におけるLY2409021(新規の選択的グルカゴン受容体拮抗薬、以下LY)1日1回28日投与したときの、安全性、忍容性、薬物動態及び薬力学的作用を評価した。
方法:31例の日本人2型糖尿病患者に対して、プラセボまたはLY(5、30、60mg)を1日1回28日間経口投与した。
結果: 投与28日目の各LY群のtmax中央値は4 - 7時間、t1/2平均値は61.1 - 65.7時間であり、曝露量に用量比例性が認められた。空腹時血糖値及びHbA1cは用量依存的に低下した。29日目の空腹時血糖値のベースラインからの変化量のプラセボとの差(最小二乗平均)は、5、30、60mgの順に、-41、-59、-67mg/dL であった。LYの忍容性は概して良好であり、軽度の低血糖症が30mg群で1件報告された。LY群で可逆的なALT、AST上昇が認められたが、総ビリルビン上昇や肝障害を示唆する症状は伴わなかった。以上の結果は、日本人患者での開発を支持するものであった。

日本イーライリリー

糖尿病・内分泌プラクティスWeb 糖尿病・内分泌医療の臨床現場をリードする電子ジャーナル

尿病関連腎臓病の概念と定義 病態多様性 低栄養とその対策
小児・思春期1型糖尿病 成人期を見据えた診療 看護師からの指導・支援 小児がんサバイバーの内分泌診療 女性の更年期障害とホルモン補充療法 男性更年期障害(LOH症候群)
神経障害 糖尿病性腎症 服薬指導-短時間で患者の心を掴みリスク回避 多職種連携による肥満治療 妊娠糖尿病 運動療法 進化する1型糖尿病診療 糖尿病スティグマとアドボカシー活動 糖尿病患者の足をチーム医療で守る 外国人糖尿病患者診療
インクレチン(GLP-1・GIP/GLP-1)受容体作動薬 SGLT2阻害薬 NAFLD/NASH 糖尿病と歯周病 肥満の外科治療 骨粗鬆症 脂質異常症 がんと糖尿病 クッシング症候群 甲状腺結節 原発性アルドステロン症
エネルギー設定の仕方 3大栄養素の量と質 高齢者の食事療法 食欲に対するアプローチ 糖尿病性腎症の食事療法
糖尿病薬を処方する時に最低限注意するポイント(経口薬) GLP-1受容体作動薬 インスリン 糖尿病関連デジタルデバイス 骨粗鬆症治療薬 二次性高血圧 1型糖尿病のインスリンポンプとCGM

医薬品・医療機器・検査機器

糖尿病診療・療養指導で使用される製品を一覧で掲載。情報収集・整理にお役立てください。

一覧はこちら

最新ニュース記事

よく読まれている記事

関連情報・資料