インスリン デグルデクの日本人データ、日本糖尿病学会で発表

2012.06.07
 ノボ ノルディスク ファーマは、開発中の新しい超持効型インスリン デグルデクの第3相試験の日本人データのサブ解析、薬物動態および薬力学的作用について、5月17日から19日に横浜で開催された第55回日本糖尿病学会年次学術集会で発表した。

 デグルデクは投与後、皮下で可溶性で安定したマルチヘキサマーとなり、緩徐にかつ持続的に血中へ移行する超持効型インスリンで、平坦で安定した血糖降下作用を示す。

 定常状態におけるインスリン デグルデクの薬力学的作用の個体内変動は24時間を通じてインスリン グラルギンと比較し小さく、半減期は2倍の長さであることが示された。また、日本人患者において血糖降下作用は26時間を超えることが示され、さらには欧米白人患者と同様に42時間を超えて作用が持続するとみられている。

 インスリン デグルデクの日本人を対象とした第3相試験のサブ解析も発表した。日本人1型糖尿病患者のベーサルボーラス療法の基礎インスリンとしてデグルデクを1日1回投与した症例では、インスリン デテミル1日1回または2回投与と比較すると、両群でHbA1cは同程度改善し、空腹時血糖値はデグルデク群でデテミル群と比較し有意に低くなった。また、夜間低血糖発現頻度はデグルデク群でデテミル群と比べて有意に52%低くなった。

 デグルデクを日本人2型糖尿病患者におけるベーサルボーラス療法の基礎インスリンとして1日1回投与し、グラルギンの1日1回投与と比較すると、両群ともHbA1cおよび空腹時血糖値は同程度改善した。デグルデク群でグラルギン群と比較して全体の低血糖発現頻度は13%低くなり、夜間低血糖発現頻度は50%低くなった。安全性について両群とも同様な安全性と忍容性があることが示された。

 また、デグルデクを70%、超速効型インスリン アスパルトを30%配合したIDegAspの試験結果も報告された。IDegAspは、デグルデクのマルチヘキサマーの形成を維持し、持続時間を保ちながらアスパルトの速やかな血糖降下作用を阻害しない特徴をもつ。デグルデクにより基礎分泌を、アスパルトにより追加分泌を補充することができる。

 日本人2型糖尿病患者においてIDegAspとインスリン アスパルト30(BIAsp30)の1日2回投与を比較した。HbA1cはIDegAsp群で1.40%、BIAsp30群で1.29%改善した。空腹時血糖値はIDegAsp群で有意に低くなった。全体の低血糖発現頻度は有意差が認められなかったが、夜間低血糖発現頻度はIDegAsp群で有意に56%低くなった。全体的な有害事象の発現率は両群で同様だった。

第55回日本糖尿病学会年次学術集会
インスリン デグルデク、インスリン デグルデク/インスリン アスパルトについての学会発表一覧

インスリン デグルデク

演題演者/筆頭演者
インスリン デグルデクの薬物動態および薬力学的作用の特徴に関する日本人とコーカシアン1型糖尿病患者の類似性の検討(口演) 医療法人相生会墨田病院
生島 一平先生
1型糖尿病患者におけるインスリン デテミルを対照薬としたインスリン デグルデクの安全性・有効性の検討-global studyサブ解析(口演) せいの内科クリニック
清野 弘明先生
日本人2型糖尿病患者の超持効型インスリン デグルデク単独療法または経口血糖降下薬併用療法の検討-global studyのサブ解析-(口演) 朝日生命成人病研究所
大西 由希子先生
1型糖尿病患者におけるインスリン デグルデクによるBasal-bolus療法は、夜間低血糖を減少し長期の血糖コントロールを改善する(ポスター) D.L. RUSSELL-JONES
インスリン デグルデク:インスリン グラルギンに比べ2倍の半減期をもち、平坦な薬物動態プロファイルを示す(ポスター) Hanne Haahr
インスリン デグルデクはマルチヘキサマーを形成することによりきわめて長く血糖降下作用を示す(ポスター) Peter Kurtzhals
1型糖尿病患者で低血糖を誘発した際のカウンターレギュレーションはインスリン デグルデクでインスリングラルギンに比べ高い(ポスター) Simon Heller
超持効型インスリン デグルデクは平坦で安定した血糖降下作用を示す(ポスター) LESZEK NOSEK
定常状態におけるインスリン デグルデクの薬力学的作用の個体内変動は24時間を通じてインスリン グラルギンと比較し小さい(ポスター) Tim Heise
2型糖尿病患者におけるインスリン デグルデクによるBasal-bolus療法は、夜間低血糖を減少し長期の血糖コントロールを改善する(ポスター) Priscilla A Hollander
2型糖尿病患者におけるインスリン デグルデクの1日1回投与時間を変更した投与法はインスリン グラルギン1日1回同時刻投与と同様(ポスター) Stephen L Atkin
1型糖尿病患者におけるSF-36で測定したQOLに対するインスリン デグルデクとインスリン グラルギンとの比較(ポスター) Philip Home

インスリン デグルデク/インスリン アスパルト

演題演者/筆頭演者
インスリン アスパルトを配合したインスリン デグルデクの安全性および有効性の検討-global studyサブ解析- 高槻赤十字病院糖尿病・内分泌・生活習慣病科
金子 至寿佳先生

ノボ ノルディスク ファーマ

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