2009年度国民医療費の主な内容は次の通り――
- 2009年度の国民医療費は36兆67億円、前年度の34兆8084億円に比べ1兆1983億円、3.4%増加した。
- 人口1人当たりの国民医療費は28万2400円、前年度の27万2600円に比べ3.6%増加した。
- 国民医療費の国内総生産(GDP)に対する比率は7.60%(前年度7.07%)、国民所得に対する比率は10.61%(前年度9.89%)。
年齢別では65歳以上が19兆9479億円と、全体の55.4%を占めた。このうち、「後期高齢者」に区分される75歳以上は11兆7335億円(全体の32.6%)。1人当たりの医療費は、65歳以上は68万7700円で、75歳以上は85万5800円だった。
一般診療医療費の内訳を傷病分類別にみると、「循環器系の疾患」5兆5394億円(20.7%)がもっとも多く、以下は「新生物(がん)」3兆3993億円(12.7%)、「呼吸器系の疾患」2兆884億円(7.8%)、「筋骨格系及び結合組織の疾患」1兆9987億円(7.5%)、「腎尿路生殖器系の疾患」1兆9870億円(7.4%)と続く。
国民医療費で目立って増えているのは、やはり高齢者の医療費だ。生活習慣病と関連の深いほとんどの項目で、65歳以上の医療費が増加している。
65歳以上に限ってみると医療費は「循環器系の疾患」(4兆1796億円)、「がん」(1兆9830億円)、「筋骨格系及び結合組織の疾患」(1兆2729億円)、「内分泌、栄養及び代謝疾患」(1兆1423億円)が多い。
また、男女別にみると、男性では「循環器系の疾患」、「がん」、「腎尿路生殖器系の疾患」が多く、女性では「循環器系の疾患」、「がん」、「筋骨格系及び結合組織の疾患」が多くなっている。
糖尿病の医療費は1兆1854億円で、前年度に比べて39億円減った。総数は65歳未満で4251億円(36%)なのに対し、65歳以上では7603億円(64%)で、65歳以上は3分の2近くを占めている。ただし、これらには糖尿病合併症の医療費は含まれておらず、それらを含む糖尿病の医療費全体ではもっと多い額になる。
高齢者に多い高血圧性疾患、心疾患、脳梗塞、脳血管疾患などを含む「循環器系の疾患」の医療費は5兆5394億円に上った。うち65歳以上が4兆1796円で75.4%を占める。
平成21年度国民医療費の概況(厚生労働省)