糖尿病黄斑浮腫のP3試験に日本も参加 バイエルとリジェネロン
2011.04.19
バイエル ヘルスケアとリジェネロン ファーマシューティカルは、眼疾患の新規治療薬として開発中のVEGF Trap-Eye(一般名:aflibercept)について、糖尿病黄斑浮腫における有効性と安全性を評価する2つの第III相(P3)試験のうちの1つを開始したと4月12日付けで発表した。
VIVID-DMEと名付けられた最初のP3試験はバイエル ヘルスケア社が主導し、オーストラリアで開始された。欧州と日本もこの試験に参加する。VISTA-DMEと名付けられた、リジェネロン社が主導するもう1つの試験は、米国、カナダなどで2011年中に開始される見込み。
バイエル ヘルスケア社では「DMEは50歳未満の成人糖尿病患者の主要な失明原因となっている。滲出型加齢黄斑変性(wet AMD)を対象とした国際P3試験では良好な結果を得られた。DMEを対象とした今回の試験でも、VEGF Trap-Eyeが重要なアンメット・メディカル・ニーズの解消に寄与することを期待している」と述べている。
VIVID-DME試験では、被験者を(1)VEGF Trap-Eye 2mgを毎月投与、(2)VEGF Trap-Eye 2mgを最初の導入期間中は毎月投与し、その後は隔月投与、(3)対照群:レーザー光凝固術の3つの治療群に分ける。主要評価項目は、治療前(ベースライン)からの視力の平均変化量で、臨床試験で視力を測定する際に標準的に用いられているETDRS視力表で測定する。VISTA-DME試験は、2011年中に開始される見込み。
糖尿病黄斑浮腫(DME)は、糖尿病網膜症でよくみられる合併症で、糖尿病でみられる中等度の視力障害の一般的な原因となっている。中心視力に関与する網膜の光感知部位である黄斑部中心窩に血液成分が漏出するとDMEが起こる。黄斑における血液成分の貯留は、高度の視力障害または失明の原因になる場合がある。
VEGF Trap-Eyeは、新生血管の増殖に関与する蛋白質「VEGF(血管内皮増殖因子)」の因子のうちVEGF-A、PIGF(胎盤成長因子)に結合する。VEGFの働きを抑えることで、眼内での血管の異常新生や出血を抑える。
臨床的に著明なDMEは、50歳未満の若年成人における失明の主要原因となる。米国ではおよそ37万人が臨床的に著明なDMEに罹患しており、毎年約9万5000人が新たに発症しているという。米国の糖尿病有病数は約1800万人以上で、糖尿病患者の最大10%がDMEを発症すると予測されている。
バイエル薬品
[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]