糖尿病患者へのSGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬の早期導入により心血管リスクが低下 DPP-4阻害薬より有利
糖尿病の経過の早い段階でSGLT2阻害薬やGLP-1受容体の導入を検討
米国疾病管理予防センター(CDC)米国疾病管理予防センターの統計によると、米国成人の2,300万人が糖尿病と診断されており、糖尿病は男女でうっ血性心疾患、冠動脈疾患などのアテローム性動脈硬化症のリスクを2~3倍増加させ、心血管疾患による死亡率も高いことが報告されている。
「心臓を最大限に保護する効果を引き出すため、糖尿病の経過のできるだけ早い段階で、SGLT2阻害薬やGLP-1受容体の導入を検討するべきだ。インスリンが使用されている患者でも、これらのクラスの薬剤は効果を期待できる」と、米チューレーン大学医学部内分泌学のJoanna Khatib氏は指摘する。
このメタ解析で、研究グループはSGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害薬に関する最近の8件の心血管アウトカム試験[DECLARE、EMPA-REG、EXSCEL、HARMONY、LEADER、SUSTAIN-6、EXAMINE、SAVOR-TIMI 53]から、主要な有害な心血管イベントについて評価した。
研究グループは、ベースラインですでにインスリンを処方されていたサブグループの参加者と、インスリンを処方されていなかったサブグループの参加者の主要な心血管イベント(MACE)を比較した。EXAMINEおよびSAVOR-TIMI 53研究は、DPP-4阻害薬では心血管の保護効果を示さなかったため、解析から除外した。各グループの症例数と非症例数にもとづき、比較グループの相対リスクを検討した。
その結果、インスリンを処方されておらず、2型糖尿病に対する新規糖尿病薬による治療を受けたサブグループでは、インスリンを処方されていなかったプラセボグループと比較して、心血管リスク低下のベネフィットと関連していることが示された(RR=0.85、95% CI 0.77~0.95)。
また、ベースラインでインスリンを処方されていたグループでも、糖尿病の新規治療薬を割り当てた場合に、心血管アウトカム改善という有意なベネフィットが観察された(RR=0.93、95% CI 0.88~0.98)。
一方、ベースラインでインスリンを使用したグループで、新規薬剤による治療の有無により、重大な心血管有害事象を経験する可能性に差があることも示された。インスリンと新規薬剤を使用したグループでの心血管転帰に対する悪影響は、インスリンを使用しなかったグループより心血管イベントが多く発生した(RR=1.52、95% CI 1.43~1.62)。
「インスリンを処方されている患者に対するSGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬の心臓への保護効果を調べる臨床試験をさらに増やす必要がある。2つの新しいクラスの治療薬により糖尿病管理にもたらされる効果の程度についてのより多くの情報が必要だ」と、研究者は述べている。