2型糖尿病薬「GLP-1受容体作動薬」に副作用 急性胆道系疾患の可能性 添付文書を改訂 「GIP/GLP-1受容体作動薬」も
2023.02.16
厚生労働省は2月14日、2型糖尿病を主な効能・効果とするGLP-1受容体作動薬およびGIP/GLP-1受容体作動薬について、添付文書の改訂を指示した。
急性胆道系疾患の副作用の可能性を否定できないと判断
「使用上の注意」の改訂は、医薬品の品質、有効性および安全性に関する情報の収集、調査、検討などをふまえて求めるもの。速やかに使用上の注意を改訂し、医薬関係者などへの情報提供などの必要な措置を講ずることを指示している。
今回の改訂は、GLP-1受容体作動薬含有製剤の投与後に発生した急性胆道系疾患関連事象(胆嚢炎、胆管炎、胆汁うっ滞性黄疸)の国内症例、およびGLP-1受容体作動薬と急性胆道系疾患との関連性を論じた公表文献を評価したもの。
専門委員の意見も聴取した結果、以下の点をふまえ、すべてのGLP-1受容体作動薬含有製剤の使用上の注意を改訂することが適切と判断したとしている。
- GLP-1受容体作動薬含有製剤と急性胆道系疾患関連症例(胆嚢炎、胆管炎、胆汁うっ滞性黄疸)との因果関係が否定できない国内症例が集積されたこと。
- GLP-1受容体作動薬の胆嚢収縮抑制作用などの薬理機序から、胆石発生が促され、胆嚢炎などの急性胆道系疾患が引き起こされる可能性があること。
- GLP-1受容体作動薬の使用により急性胆道系疾患のリスク上昇を示唆する公表文献が複数報告されていること(JAMA Intern Med 2022; 182: 513-9、JAMA Intern Med 2016; 176: 1474-81 など)。
また、チルゼパチドについては、関連する症例集積はないものの、GLP-1アゴニスト作用を有しており、GLP-1受容体作動薬と同様の副作用が起こる可能性を否定できないことから、使用上の注意を改訂することが適切と判断したとしている。
GLP-1受容体作動薬/経口GLP-1受容体作動薬/配合注射薬
添付文書の記載 | |
改訂前 | 改訂案 |
(新設) |
8. 重要な基本的注意 胆石症、胆嚢炎、胆管炎又は胆汁うっ滞性黄疸が発現するおそれがあるので、腹痛等の腹部症状がみられた場合には、必要に応じて画像検査等による原因精査を考慮するなど、適切に対応すること。 |
11. 副作用 (新設) |
11. 副作用 11.1 重大な副作用 胆嚢炎、胆管炎、胆汁うっ滞性黄疸 |
GIP/GLP-1受容体作動薬
【薬効分類】249 その他のホルモン剤 |
【医薬品名】 チルゼパチド (販売名:マンジャロ) |
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添付文書の記載 | |
改訂前 | 改訂案 |
8. 重要な基本的注意 胆嚢炎、胆石症等の急性胆道系疾患が発現するおそれがあるので、腹痛等の腹部症状がみられた場合には、必要に応じて画像検査等による原因精査を考慮するなど、適切に対応すること。 |
8. 重要な基本的注意 胆石症、胆嚢炎、胆管炎又は胆汁うっ滞性黄疸が発現するおそれがあるので、腹痛等の腹部症状がみられた場合には、必要に応じて画像検査等による原因精査を考慮するなど、適切に対応すること。 |
11. 副作用 11.1 重大な副作用 (新設) |
11. 副作用 11.1 重大な副作用 胆嚢炎、胆管炎、胆汁うっ滞性黄疸 |
使用上の注意の改訂指示通知(医薬品) (医薬品医療機器総合機構)
「使用上の注意」の改訂について (厚生労働省 2023年2月14日)
[ TERAHATA / 日本医療・健康情報研究所 ]