時間制限食は2型糖尿病患者の減量にも有用な可能性
時間制限食(time restricted eating;TRE)は断続的断食の一種で、1日の中で食事を摂取する時間を一定の時間帯に制限する食事スタイル。例えば、24時間のうち8時間のみ摂取可として、残りの16時間はエネルギーのない飲食物を摂取するといった方法が取られる。
これまでに、介入期間が2~3ヵ月程度の短期間の研究では、摂取可能時間を8時間とするTREが、前糖尿病者の体重減少と血糖コントロール改善に有効と報告されている。ただし、TREのそのような効果が2型糖尿病患者にも当てはまるのかという点は明確でなく、また古くから行われている摂取エネルギー量制限(calorie restriction;CR)との効果の比較もなされていない。これを背景としてPavlou氏らは、過体重・肥満を伴う2型糖尿病患者を対象として、体重、心臓代謝リスク因子および血糖コントロールに対する8時間TRFとCRの介入効果を比較する研究を行った。
過体重または肥満のある18~80歳の成人2型糖尿病患者57人を、無作為に以下の3群に割り付けた。1群は毎日12~20時は自由に摂取可、その他の時間帯は絶食とする「TRF群」、他の1群は25%の摂取エネルギー量制限を課す「CR群」で、残り1群は非介入(常時自由に摂取可)の「対照群」。介入期間は6ヵ月だった。
介入前後の体重変化は、CR群が-1.6±2.3%、対照群が-0.8±3.4%であるのに対して、TRE群は-4.7±4.0%と減量幅が有意に大きかった(P<0.003)。また体脂肪量は、TRE群では有意に減少していた。HDL-Cの変化に関しては、CR群は-1.4±6.8mg/dLの低下であるのに対し、TRE群は3.3±4.8mg/dLと有意に上昇していた(P=0.038)。対照群は1.3±4.4mg/dLで有意な変化はなかった。
これらのほかに評価した、収縮期/拡張期血圧、内臓脂肪量、除脂肪体重、LDL-C、トリグリセライド、空腹時血糖、空腹時インスリン、HbA1c、HOMA-IRの変化は、有意な群間差がなかった。なお、TRE群における遵守状況は介入期間を通じて高かった。
著者らは、「TRE群はCR群または非介入対照群に比較して、6ヵ月間でより顕著な体重減少、体脂肪量減少、およびHDL-Cの増加をもたらした。ただし、HDL-C以外の心臓代謝リスク因子、血糖コントロールに対する優位性はみられなかった」と結論付けている。また、Pavlou氏は、「2型糖尿病の治療薬の中には低血糖を引き起こす可能性のある薬や、食事のタイミングに合わせて服用する必要がある薬もあるため、TREを試みる患者は医師・栄養士との緊密な協調の下で開始すべき」と注意点を付け加えている。
なお、学会発表された研究は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものとみなされる。
[HealthDay News 2023年7月27日]
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