SGLT2阻害剤「フォシーガ」が欧州医薬品評価委員会より慢性腎臓病治療薬としての承認勧告

2021.07.06
 アストラゼネカは、SGLT2阻害剤「フォシーガ」(ダパグリフロジン)が、欧州で、2型糖尿病合併の有無に関わらず、成人の慢性腎臓病(CKD)の治療薬として承認勧告を受けたと発表した。
 今回の欧州医薬品庁(EMA)の医薬品評価委員会(CHMP)の肯定的見解は、フォシーガの第3相DAPA-CKD試験の結果にもとづいている。同試験でフォシーガは、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬またはアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)との併用で、プラセボと比較して、腎機能の悪化、末期腎不全への進行、心血管死または腎不全による死亡のいずれかの発生による複合評価項目のリスクを低下させた。
 フォシーガはまた、プラセボと比較して全死亡のリスクを有意に低下させた。同試験で、フォシーガの安全性と忍容性は、これまでの試験で確認された安全性プロファイルと一致していた。

欧州で慢性腎臓病の治療を大きく変える可能性が

 慢性腎臓病(CKD)は、腎機能の低下によって定義される病態で、しばしば心疾患や脳卒中の発症リスクの増加と関連している。欧州で約4,700万人、世界で8億4,000万人がCKDを罹患していると推定されている。しかし、その診断率は低く、90%の患者は罹患していることに気が付いていない。

 一方、フォシーガは、2021年4月に、米国で2型糖尿病の有無に関わらない、成人CKD患者の治療薬として承認された。また、欧州に加えて、日本や世界などでも審査が進行中だ。フォシーガはまた、成人2型糖尿病の食事、運動療法の補助療法としての血糖コントロール改善、さらに、2型糖尿病合併の有無に関わらず左室駆出率が低下した成人の症候性心不全に対する適応を有している。

 DAPA-CKD試験は、2型糖尿病合併の有無に関わらず、CKDステージの2~4、かつ、アルブミン尿の増加が確認された4,304例を対象に、ダパグリフロジン10mg投与による有効性と安全性をプラセボと比較検討した、国際多施設共同無作為化二重盲検比較試験。フォシーガは1日1回、CKDの標準治療に追加投与された。

 主要評価項目は、腎機能の悪化もしくは死亡(eGFRの50%以上の持続的低下、末期腎不全への進行、心血管または腎不全による死亡)だった。副次評価項目は、腎機能の複合評価項目(eGFRの50%以上の持続的低下、末期腎不全への進行、腎不全による死亡)、心血管死もしくは心不全による入院、および全死因死亡のいずれかの初発までの期間だった。試験は日本を含む21ヵ国で実施され、結果は「New England Journal of Medicine」に掲載された。

 第3相DAPA-CKD試験で、フォシーガは、2型糖尿病の有無に関わらず、慢性腎臓病患者に対して、プラセボと比較して、腎不全および心血管または腎不全による死亡からなる複合リスクを低下させたことが示された。これにより、フォシーガは、慢性腎臓病患者を対象とする腎アウトカム試験で生存期間を有意に延長し、臓器保護作用をもたらすことを示した最初のSGLT2阻害剤となった。

Dapagliflozin in patients with chronic kidney disease(New England Journal of Medicine 2020年10月8日)

 “DAPA Care”は、フォシーガの心血管、腎、臓器保護作用を評価する一連の臨床プログラム。終了済みの試験を含め3万5,000例以上の患者を対象とする35件以上の第2b/3相試験から構成されており、フォシーガはこれまでに250万患者年以上に処方されている。現在、左室駆出率が保持された心不全患者を対象とした第3相DELIVER試験が進行中。またフォシーガは、急性心筋梗塞(MI)または心臓発作発症後の非2型糖尿病患者を対象としたDAPA-MI試験が進行中。DAPA-MI試験は、この種の試験でははじめてとなる適応症追加を目的としたレジストリにもとづく無作為化比較対照試験だ。

 なお、日本では現在、フォシーガの承認された効能・効果は、「2型糖尿病」「1型糖尿病」「慢性心不全 ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る。」となっている。

フォシーガ錠5mg/フォシーガ錠10mg 添付文書 患者向医薬品ガイド (医薬品医療機器総合機構)

[ TERAHATA / 日本医療・健康情報研究所 ]

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