SGLT2阻害薬を小児2型糖尿病治療薬として承認 FDA
FDA、経口血糖降下薬2剤を小児2型糖尿病治療薬として承認 米食品医薬品局(FDA)は6月20日、従来は使用が成人に限られていた2種類の経口血糖降下薬を、10歳以上の小児に使用することを承認した。承認された2剤は、ベーリンガーインゲルハイム社のSGLT2阻害薬であるエンパグリフロジン(商品名:ジャディアンス)、および、エンパグリフロジンとメトホルミンの合剤(同:Synjardy)。
小児2型糖尿病治療薬としてFDAが認可した経口薬は、2000年承認のメトホルミンが唯一という状態がこれまで続いていた。FDAのMichelle Carey氏は、「一般に成人に比べると、子供の方が病状の進行が速い。それにもかかわらず、小児2型糖尿病の治療選択肢は限られている。今回の承認は、2型糖尿病の子供たちが待ち望んでいた、新たな治療選択肢を提供するものである」と述べている。
エンパグリフロジンの小児への使用の安全性と有効性は、無作為化二重盲検プラセボ対照試験で検討された。10~17歳の血糖管理が十分でない2型糖尿病患者157人を、エンパグリフロジン群、DPP-4阻害薬(リナグリプチン)群、プラセボ群の3群に分け、26週間追跡。研究参加登録時点で患者の51%はメトホルミン単独、40%はメトホルミンとインスリン併用、3%はインスリン単独で治療されていた。
26週経過後、エンパグリフロジン群(52人)のHbA1cは平均0.2%低下していた。対してプラセボ群(53人)のHbA1cは平均0.7%上昇していた。また、空腹時血糖値もエンパグリフロジン群の方が低値だった。
低血糖については、参加登録時点の治療内容にかかわらず、エンパグリフロジン群で多く認められた。エンパグリフロジン群で報告された低血糖以外の副作用は、これまで成人で報告されてきたものと類似していた。成人でのエンパグリフロジンの最も一般的な副作用は、尿路感染症や女性の真菌感染症など。また、メトホルミンの一般的な副作用は、下痢、嘔気、腹部不快感などが挙げられる。
なお、承認された2剤の1型糖尿病患者への使用は、糖尿病性ケトアシドーシスのリスクがあるため推奨されない。また重度の腎機能障害のある患者への使用も推奨されない。
米国では、小児2型糖尿病の罹患率が2002年から2015年にかけて年間4.8%ずつ増加していると報告されており、今後も患者数の増加が見込まれている。2017年時点で、米国内の小児2型糖尿病患者数は約2万8,000人であり、現在の増加傾向が続くとすると2060年までに約22万人に達すると予測されている。
[HealthDay News 2023年6月21日]
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