GLP-1受容体作動薬とSGLT2阻害薬の併用 糖尿病患者の心臓病と腎臓病に対する高い予防効果を確認 GLP-1RAは肥満関連がんのリスクも低下
GLP-1受容体作動薬とSGLT2阻害薬の併用は効果が高い
GLP-1受容体作動薬とSGLT2阻害薬の併用は、2型糖尿病患者の心臓病と腎臓病に対する予防効果が高いことが、オーストラリアのジョージ国際健康研究所が、12件の大規模プラセボ対照試験のデータをメタ解析した研究で明らかになった。
研究成果は、5月にストックホルムで開催された第61回欧州腎臓学会で発表されるとともに、「Lancet Diabetes & Endocrinology」に掲載された。
研究グループは、SMART-C(SGLT2阻害薬メタ解析心腎試験コンソーシアム)に登録された7万3,238人の2型糖尿病患者(うち3,065人はGLP-1受容体作動薬が処方されていた)を対象に、SGLT2阻害薬を用いた12件の大規模プラセボ対照試験のデータをメタ統合した。
その結果、GLP-1受容体作動薬にSGLT2阻害薬を追加した場合、プラセボと比較し、主要な心血管イベント(心筋梗塞、脳卒中、心血管死)のリスクは11%減少し、心不全あるいは心血管死による入院は23%減少した。さらに、慢性腎臓病(CKD)の進行リスクは33%減少し、年間の腎機能の低下は60%遅くなった。
両剤を併用したときの新たな安全性の懸念は確認されなかった。なお、SGLT2阻害薬のもたらすメリットはGLP-1受容体作動薬の使用とは関係なくみられた。
「GLP-1受容体作動薬とSGLT2阻害薬の使用適応が拡大しており、両剤を併用した場合の効果を調べることは重要だ。今回の研究は、両剤の併用の臨床結果に関する最大かつもっとも包括的な評価となる」と、同研究所の上級研究員であり、シドニーのロイヤル ノースショア病院の腎試験ディレクターであるBrendon Neuen氏は述べている。
「両クラスの薬剤は互いに独立して作用すると考えられる。SGLT2阻害薬は、心不全と慢性腎臓病に対する明らかな効果があり、一方、GLP-1受容体作動薬は心臓発作、脳卒中、腎臓病のリスクを軽減する。このことはFLOW試験で実証されており、今回の研究結果は、両剤の併用療法が、診療ガイドラインで推奨されている2型糖尿病患者の転帰をさらに改善することを裏付けるものだ」としている。
のリスク低下と関連
Combining popular diabetes drugs offers complementary heart and kidney benefits (ジョージ国際健康研究所2024年7月8日)
SGLT2 inhibitors and GLP-1 receptor agonists: the definitive combination? (Lancet Diabetes & Endocrinology 2024年7月8日)
Glucagon-like peptide 1 receptor agonists and 13 obesity-associated cancers in patients with type 2 diabetes (JAMA Network 2024年7月5日)
Glucagon-Like Peptide 1 Receptor Agonists and 13 Obesity-Associated Cancers in Patients With Type 2 Diabetes (JAMA Network Open 2024年7月5日)