2型糖尿病患者での経口ステロイド、短期間投与でも重篤な有害事象のリスクが上昇 台湾・健康保険データ解析

2026.11.06
経口ステロイド薬は、長期間の使用では重篤な副作用のリスクがある一方、短期的な使用であれば比較的安全だと考えられてきた。しかし、2型糖尿病患者においては、2週間以内の短期使用であっても、消化管出血や肺炎、心不全などの重篤な有害事象のリスク上昇と関連するとの研究結果が報告された。本報告は台湾の国民健康保険データベースを用いた大規模研究によるもので、研究結果が2026年9月23日付けで「JAMA Network Open」に掲載された。

 経口ステロイド薬(OCS)が血糖値を急激に上昇させることは古くから知られており、糖尿病患者にOCSを開始する際は血糖値の綿密なモニタリングが推奨されている。一方で、骨粗鬆症や免疫低下といったステロイド薬特有の重篤な副作用は、長期間使用し続けた場合に起きるものとされ、14日以内の短期的集中投与(バースト)であれば、血糖値の上昇などを除いては比較的安全であるとされてきた。

 しかし近年、糖尿病の有無を問わない一般集団を対象とした研究で、短期間のOCS使用でもまれに重篤な有害事象のリスクが高まることが報告されている。元々感染症や心血管疾患のリスクが高い2型糖尿病患者において、短期間のOCS使用が血糖値の上昇以外にどのような重篤な有害事象を引き起こすかについては、これまで十分に分かっていなかった。

 そこで研究グループは、台湾の国民健康保険研究データベース(NHIRD)のデータ(2008年1月~2022年12月)を用いて、2型糖尿病患者における短期的なOCS使用と重篤な有害事象との関連を検討した。

 解析対象となったのは、OCSバーストによる治療を受けた2型糖尿病患者3万6,048人(平均年齢61.6歳、男性47.6%)。OCSの使用日数は平均4.5日であった。

 研究には、自己対照ケースシリーズの手法を用いた。各対象者について、ベースライン期間(OCSバースト開始前6~90日)とOCS治療後の2期間(OCSバースト開始後6~30日および同31~90日)で重篤な有害事象の発生率を比較した。OCSは、全てプレドニゾン換算とした。

 主要評価項目は、消化管出血、肺炎、敗血症、心不全、骨折の5つの重篤な有害事象の発生とした。未測定の交絡を検出するための陰性対照アウトカムには失神を設定した。5つの主要評価項目および陰性対照アウトカムについて、条件付きポアソン回帰モデルを用いて発生率比(IRR)および95%信頼区間(CI)を算出した。

 解析の結果、OCS開始後早期(6~30日)に、重篤な有害事象のリスクが有意に上昇していた。ベースライン期間と比較したIRRは、肺炎でIRR 2.06(95%CI 1.65~2.57)、心不全でIRR 1.87(95%CI 1.27~2.77)、消化管出血でIRR 1.71(95%CI 1.52~1.94)であった。さらに、OCS開始から31~90日が経過した期間においても、消化管出血(IRR 1.26、95%CI 1.14~1.38)と骨折(IRR 1.42、95%CI 1.21~1.68)のリスク上昇が認められた。

 一方、陰性対照アウトカムについては関連が認められなかった。これらの結果は、死亡例を除外した場合や、リスク評価の期間定義を変更した複数の感度分析においても一貫して認められた。

 本研究では、2型糖尿病患者へのOCSバーストは、消化管出血、肺炎、心不全、骨折のリスク上昇と関連していた。研究グループは本結果について、2型糖尿病患者において、特に代替治療があり、自然軽快する疾患に対しては、OCSの慎重な処方が重要であることが示されたとしている。

[ 糖尿病リソースガイド編集部 / 日本医療・健康情報研究所 ]

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