たんぱく質摂取量が少ないCKD患者で腎不全・全死亡リスクが上昇 韓国前向きコホート研究

たんぱく質制限は、長年にわたりCKDの保存的治療の柱とされ、透析導入前のCKD患者には1日0.6~0.8g/kgのたんぱく質摂取量が推奨されてきた。しかし、近年の観察研究やメタ解析では、腎代替療法を要する腎不全や全死亡に対する明確なベネフィットは示されておらず、過度の制限がたんぱく質・エネルギー消耗状態(PEW)を悪化させる懸念も指摘されている。特に、体格が小さく筋肉量の少ないアジア人集団における長期的なベネフィットは明らかになっていなかった。そこで研究グループは、透析導入前のCKD患者において、1日のたんぱく質摂取量と、腎代替療法を要する腎不全および全死亡のリスクとの関連を検討した。
本研究には、韓国の9つの三次医療機関が参加する前向きコホート研究「KNOW-CKD」のデータを用いた。対象は、2011~2016年に登録されたステージ1~5(透析導入前)のCKD患者で、2024年1月まで追跡した。たんぱく質摂取量は、登録時の24時間蓄尿による尿中尿素窒素排泄量から推定し、1日0.6g/kg未満、0.6~0.8g/kg未満、0.8~1.0g/kg未満、1.0~1.2g/kg未満、1.2g/kg以上の5群に分類した。主要評価項目は腎代替療法を要する腎不全の発症、副次評価項目は全死亡と主要心血管イベント(MACE)とし、死亡を競合リスクとして考慮したうえで、年齢、性別、併存疾患、CKDの原因疾患、BMI、血圧、血清アルブミン、eGFR、尿中アルブミン/クレアチニン比などを調整して解析した。
解析対象となった1,861人(平均年齢53.7歳)は、中央値9.3年追跡され、この間に726人が腎代替療法を要する腎不全に至った。その割合は、たんぱく質摂取量が最も少ない0.6g/kg未満群で46.2%と最も高く、最も多い1.2g/kg以上群で25.5%と最も低かった。なお、0.6g/kg未満群では、血清アルブミンやeGFRが低く、糖尿病の割合が高い傾向がみられた。
多変量解析の結果、1.2g/kg以上群と比べ、0.6g/kg未満群では、腎代替療法を要する腎不全のリスクが有意に高く(部分分布ハザード比〔sHR〕1.42、95%CI 1.09~1.85)、全死亡のリスクも高かった(sHR 2.17、95%CI 1.17~4.03)。一方、MACEのリスクには群間で有意な差はみられなかった。また、たんぱく質摂取量と腎不全リスクの関連は非線形で、摂取量が少なくなるにつれてリスクが急激に上昇していた。これらの結果は、追跡開始1年以内に腎不全に至った人や、低栄養の指標がある人を除いた解析でも一貫していた。糖尿病の有無による関連の違いはみられなかった。
著者らは、透析導入前のCKD患者において、たんぱく質摂取量の少なさは有意な腎保護効果と関連せず、むしろ腎代替療法を要する腎不全や全死亡のリスク上昇と関連していたと結論付けている。そのうえで、特に筋肉量の少ない集団では、PEWを防ぐために、厳格なたんぱく質制限と栄養状態のモニタリングとのバランスをとる必要があり、CKDにおける食事中のたんぱく質管理には、より個別化されたアプローチが求められる可能性があるとしている。
一方、研究の限界として、観察研究であるため因果関係は示せないこと、対象が韓国人に限られること、総エネルギー摂取量やたんぱく質の種類(植物性・動物性)を考慮できなかったこと、たんぱく質摂取量の評価が登録時1回の24時間蓄尿に基づくことなどを挙げている。





