インスリン不使用の2型糖尿病患者に「isCGM」を使用 血糖管理が改善し治療満足度も向上 RCTを実施 名古屋大学
isCGMの使用によりHbA1cが急速・長期的に改善 治療の継続に対する満足度も向上
インスリン療法を行っていない2型糖尿病患者がisCGM(間歇スキャン式持続グルコース測定)を使用すると、早ければ使用を開始してから1週間で血糖管理が改善し、HbA1cの改善はisCGMを使用した時間の割合と相関し、さらにHbA1c改善は治療継続に関する満足度の高さと関連することなどが明らかになった。
研究は名古屋大学大学院医学系研究科内分泌・糖尿病学の尾上剛史氏、有馬寛教授らによるもので、研究成果は「Primary Care Diabetes」に掲載された。
日本の現状では、isCGMを保険診療で使用できるのはインスリン療法を行っている患者のみだが、研究グループはこれまで、インスリンを使用していない2型糖尿病患者を対象としたランダム化比較試験(RCT)を実施し、isCGMの一定期間の提供により、血糖管理が改善し、その効果は測定終了後も持続することを報告している。
今回の研究では、2017年7月~2018年11月に、インスリン療法を行っていない20~70歳未満でHbA1c7.5%以上8.5%未満の2型糖尿病患者100人を対象に、isCGM群(n=49)あるいはSMBG群(n=51)にランダムに割り当てた。過去にisCGMやSMBGを行ったことのある患者や腎不全のある患者などは除外した。
その結果、12週間の介入によりisCGM群はSMBG群に比べHbA1cが有意に大きく低下し、介入終了から12週後にも有意な改善効果が持続した。
isCGM開始後の翌週には、平均血糖値が有意に低下し、血糖値が70~180mg/dL以内にあった時間が有意に増加、180mg/dLを超えていた時間が有意に減少した。また、GMI(Glucose management indicator)、TIR(Time in range)、高血糖域にある時間を示すTAR(Time above range)といった血糖管理の評価指標も、センサーを1週間装着した後に大幅に改善され、この改善は12週間続いた。同様に、血糖変動の平均振幅を示すMAGE(Mean amplitude of glycemic excursions)は、センサー装着後2週間で大幅に減少し、12週間でも有意な変化が維持された。低血糖域にある時間を示すTBR(Time below range)は介入期間を通じて、一貫して低レベルを維持した。
HbA1cの変化と、isCGMによる平均スキャン頻度およびアクティブだった時間の割合とは相関しており、12週間後のHbA1cの変化とCGMが活性である時間の割合とのあいだに相関関係がみられた[r=-0.39、p =0.009]。
12週間後のHbA1cの変化とベースラインHbA1cのあいだには逆相関がみられ[r=−0.290、p=0.048]、「現在の治療を継続する意欲」に関するDTSQスコア(DTSQ8)の改善は、12週間後のHbA1cの改善と関連していた[r=0.39、p =0.009]。isCGM提供期間の終了から12週間後である24週間でのHbA1cの改善は、DTSQ(DTSQ5)スコアの改善[r=0.36、p =0.014]、およびDTSQ8スコアの改善[r=0.37、p =0.012]と、それぞれ有意に関連していた。
「isCGMが糖尿病の自己管理や生活習慣の改善に有効であれば、糖尿病患者の大半を占めるインスリン治療を受けていない2型糖尿病患者にも効果が期待できると考えられる」と、研究者は述べている。
「今回の研究で、isCGMの使用によるHbA1cの急速かつ長期的な改善は、インスリン治療を受けていない2型糖尿病患者での現在の治療の継続に対する満足度の向上と関連することが示された」としている。
なお、今回の研究に使用されたのは「FreeStyleリブレ」だが、日本でも「FreeStyleリブレ 2」が2024年3月より発売され、スマートフォンアプリ(FreeStyleリブレLink)を使用すると、スリアルタイムCGMとして使用でき、高血糖・低血糖アラート機能も使用できるようになった。
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