加藤茶・綾菜夫妻、阿部雅紀医師が「おうち透析」について語る ヴァンティブ設立ローンチイベントが開催

腹膜透析の認知向上を目指す「おうち透析」プロジェクト
2025年3月13日、東京都港区に本社を構える株式会社ヴァンティブは、新会社設立を記念したローンチ発表会を開催。(※イベントの様子の一部が3月31日まで下記YouTubeで限定公開中です)
【おうちで透析ができるの?!】加藤夫妻 「おうち透析」治療の選択肢を知ることの大切さ(透析病院ドットコムチャンネル)
バクスター社がリーダー企業として築いてきた腎臓ケア事業を引き継ぎ、世界100カ国以上、2万3千人以上の社員を有するグローバルカンパニーとなるヴァンティブは、革新的な医療機器やデジタルソリューションの提供を通じて患者のライフスタイルに合った治療法の選択肢につなげることを目指している。
会社設立を機に「人生に寄り添い、希望の未来へ」というミッションのもと、慢性腎臓病患者の腎代替療法に関して、在宅透析(「おうち透析」)の普及促進にいっそう力を入れる意思を示した。
ヴァンティブが推進する「おうち透析」プロジェクトは、自宅で患者自ら透析を行える腹膜透析をより多くの人に知ってもらい、患者の治療の選択肢を広げることを目的としている。その背景には、日本では透析療法のうち、腹膜透析を選択する患者の割合が約3%と他の先進諸国に比べてきわめて低く、多くの患者が通院型の血液透析を受けているという現状がある。
通院透析は週3回、各4時間の治療を要するため患者の生活に大きな制限がかかるが、腹膜透析は基本は毎日となるものの自宅で就寝中に行うことも可能であり、患者のライフスタイルに寄り添った柔軟な治療法であることが特徴のひとつだ。

ヴァンティブが行った約1,470人の腹膜透析患者への調査によると、85%が「腹膜透析を行っていなかったら仕事や趣味を諦めていたかもしれない」と回答し、78%が「自分らしいライフスタイルを維持できている」と感じている。しかし、約90%の患者がこの治療法を「病院で知った」と回答しており、認知度向上の必要性が明らかになった。
この課題に対応するため、ヴァンティブは病院検索サイト「透析病院ドットコム」を開設し、自分に合った腎代替療法を探せる環境を作っているほか、YouTubeで透析治療に関する教育コンテンツも提供している。
阿部雅紀先生が慢性腎臓病や腹膜透析について解説
河野社長と阿部先生のトークセッションでは、阿部先生が慢性腎臓病患者数の増加や、腹膜透析について解説。慢性腎臓病は、進行して腎不全になると腎移植か人工透析2種のうちいずれかを行う必要があるが、日本では腹膜透析の普及率が3%と非常に低く、患者の治療選択が血液透析に偏っていることについて「日本人の国民性として医療は専門家に行ってもらうものであり、自分自身で行うことはできないという考えを持つ方が多い。また、日本では腹膜透析を実施している施設と実施していない施設があるため、どの医療機関でも腹膜透析が3%ということではなく、たとえば私の病院では15%~20%となっている」と指摘。
また、「おうち透析」と「通院透析」の違いについて詳細に説明したうえで、「2つの透析は、治療方法、治療者、災害時の対応など、異なる点が多々ある。患者さんと医師がSDM(共同意思決定)を丁寧に行うことで患者さんの満足度が向上する」と述べた。

加藤茶・綾菜夫妻の体験談と透析に関する誤解
続くスペシャルゲストとのトークセッションでは、82歳を迎えた加藤茶さんと妻の綾菜さんが透析治療について語った。
加藤さんは現在、食事療法の努力で透析には至っていないが、以前、医師から血液透析の説明を受けた際、実際に血液透析を受けている人に話を聞き、「これからコントができなくなるのでは」と強い不安を抱いたという。しかし、腹膜透析の存在を知ったことで「自宅で透析を行うことができるなら、仕事もやりたいことも我慢しなくていいんだと思った」と希望を見出したことを語った。
また、就寝中に行う自動腹膜透析(APD)について、「寝ている間に治療が終わっているなんて、楽でいい!」とコメント。しかし当初、医師からは腹膜透析という選択肢は示されなかったというお話も。
妻の綾菜さんは、「腹膜透析の機械は、銀行のATMと同じくらいの簡単な操作で患者自らが扱えるもので、旅行時や災害時は機械を使わない方法への切換えもできる」という阿部先生の説明に「それなら地方での仕事も旅行も続けられる。行動も広がるね!」と、にっこり。
トークの途中で行われた透析治療に関するクイズでは、腹膜透析の食事制限が比較的緩やかであることについて加藤夫妻は「腎臓が悪い人はカリウムも塩分もダメで好きなものを食べられないと思っていたので、果物やコーヒーが飲めるとは思わなかった」と驚きを見せた。
そして加藤茶さんは最後に今年の目標について聞かれると、「今年だけでなく、やはり何歳までコントができるかな、ということを考えている。目標は100歳まで舞台に立ち続け、108歳の茶寿まで元気に暮らすことですね」と語り、自身の人生を楽しむ意欲を見せた。
阿部先生は「多くの方が透析というと絶望するが、日本の透析医療の成績は世界トップなので心配することはない。ただ、腎代替療法の選択肢を知ることは非常に重要なので、多くの方々に血液透析だけでなく、腹膜透析のことも知ってほしい」と締めくくった。

腎代替療法 全ての人が自分に最善の選択肢を選べるようになるために
慢性腎臓病は糖尿病との関連も深く、日本の成人の約5人に1人が罹患しており「新たな国民病」とも言われている。進行すると腎不全に至り透析や腎移植が必要になるが、多くの患者が透析には2つあること、そして腹膜透析の治療法、特徴について十分な情報を得られていない状況にある。
日本では腹膜透析の治療を行う医療施設が血液透析に比べて非常に少ないという現状もある。ヴァンティブはこれらの課題を解決するため、腹膜透析の全国的な認知度向上とともに、患者が自身に最適な治療法を選択できる環境を整備し、より多くの人々が「おうち透析」という選択肢を持てるよう支援していく方針である。