【続報】グルコースモニタシステム「FreeStyleリブレ」センサーの一部製品を自主回収 アボット

2023.03.10
 アボットジャパン合同会社は、同社のグルコースモニタシステム「FreeStyleリブレ」のセンサーについて、海外製造元での調査により、一部の製品で誤った高いグルコース値を示す可能性があることを確認したと発表した。同社はこの件について、3月3日にプレスリリースを公表した。

 数値が正しく表示されない場合、患者の潜在的な健康被害を引き起こす可能性があるため、対象となる製品について自主回収を行っている。

ロット番号「6916030」「6916031」のFreeStyleリブレセンサーを自主回収

 アボットジャパン合同会社は、同社のグルコースモニタシステム「FreeStyleリブレ」のセンサーについて、海外製造元での調査により、一部の製品で誤った高いグルコース値を示す可能性があることを確認したと発表した。

 数値が正しく表示されない場合、患者の潜在的な健康被害を引き起こす可能性があるため、対象となる製品について自主回収を行っている。

 同社によると、この問題は、ロット番号「6916030」および「6916031」のFreeStyleリブレセンサーの一部製品に発生しているという。

 現在、使用しているFreeStyleリブレセンサー、または未使用のFreeStyleリブレセンサーが、対象製品であるかについては、AbbottのFreeStyleのサイト<https://www.freestyleconfirm.com/jp-ja/home.html>にアクセスし、FreeStyleリブレセンサーのシリアル番号:0M(ゼロ・エム)から始まる11桁の番号を入力することで確認できる。

 「本製品をご使用中の患者、および治療に携わる医療関係者の皆様にご不便とご心配をおかけすることになりましたことを深くお詫び申し上げます」と、同社ではコメントしている。

1. 一般的名称および販売名
一般的名称 グルコースモニタシステム
販売名 FreeStyleリブレ
承認番号 22800BZX00212000

2. 数量および出荷時期
数量 7,604個(シリアル: 別添参照)
ロット番号 6916030 および 6916031の一部製品
出荷時期 同社から特約店 2022年10月19日~2022年11月15日
同社特約店から医療機関 2022年10月25日~2023年1月25日

3. 製造販売業者等名称
製造販売業者の名称 アボットジャパン合同会社
製造販売業者の所在地 千葉県松戸市松飛台278
許可の種類 第一種医療機器製造販売業
許可番号 12B1X00001
製造元の名称および国名 Abbott Diabetes Care Inc.(米国)

4. 回収理由
 海外製造元での調査により、アボットジャパン合同会社は、一部のFreeStyleリブレセンサーが誤った高いグルコース値を示す可能性があることを確認いたしました。数値が正しく表示されない場合、患者の潜在的な健康被害を引き起こす可能性がありますので、この度対象となる製品について自主回収することといたしました。

5. 危惧される具体的な健康被害
 本品は、主にインスリン注射を使用している糖尿病患者が本品から得られたグルコース値を用いて、必要に応じて血糖自己測定器を併用しながら、糖尿病の日常の自己管理に用いています。医師の指示に従って、本品の測定結果により患者がインスリン製剤の投与量を変更されている場合があります。
 対象シリアルのセンサーは、誤った高グルコース値を表示する可能性があり、その結果として過剰な投薬(通常はインスリン)または糖質の摂取不足につながる可能性があります。
 数値が正しく表示されない場合、使用者が誤ったグルコース値に基づいて必要量以上のインスリンの投与をしてしまったり、実際には必要な糖質の摂取不足につながったりして、潜在的に重症低血糖などの重篤な健康被害を引き起こす可能性があります。

 日本国内では、回収対象品のシリアル番号が確認された製品を使用していた患者で、低血糖で病院を受診したケースが1例報告されています。

 今のところ、回収対象品を使用した死亡例や障害の報告はされていません。

6. 回収開始年月日
2023年2月2日

7. 効能・効果又は用途等
 本品は、皮下に挿入したセンサーが間質液中のグルコース濃度を連続的に測定し、Reader又はアプリケーションソフトウェアをインストールした汎用プラットフォームでスキャンすることで、連続測定した間質液中グルコース濃度変動パターンを表示する。
 本品から得られた間質液中グルコース濃度に関する情報を連続的に測定し、低血糖又は高血糖の検出を補助する。また、必要に応じて血糖自己測定器を併用しながら、糖尿病の日常の自己管理に用いる。
 本品のReaderは、血糖値および血液中のケトン体(β‐ヒドロキシ酪酸)を測定する測定器として機能する。専用の血糖測定電極又はβ‐ケトン測定電極と組み合わせて使用する。

 なお、同社は回収対象製品の出荷先を把握しており、FreeStyleリブレセンサーが納品されたすべての施設に対し、今回の回収についてのお知らせを追跡可能な方法で発送済みとしている。

 アボットジャパン合同会社は、今回の回収について、特設のコールセンター(下記専用ホットライン)を追加設置した。また、回収に関する情報は、同社の2つのウェブサイトで入手することができる。

 同社は「FreeStyleリブレLinkを使用していて対象センサーを使用したことが確認できた方には、直接連絡いたします」と述べている。

本件についてのお問い合わせ先
アボットジャパン合同会社 ダイアベティスケア事業部
専用ホットライン:アボットジャパン ダイアベティスケア カスタマーサービス
電話番号:03-4555-1370〔営業時間 9:00-18:00(平日)〕

日本糖尿病学会と日本糖尿病協会も「緊急注意喚起」を公開

 今回の件について、日本糖尿病学会と日本糖尿病協会は連名で3月2日に、「【緊急注意喚起】間歇スキャン式持続血糖測定器「FreeStyleリブレ」センサーの一部不具合発生と血糖自己測定(SMBG)を使った適正使用について」を公開した。

 「FreeStyleリブレの添付文書の使用上の注意に記載されていますが、FreeStyleリブレの測定結果と一致しない症状がある場合や、測定値の正確性に疑問がある場合には、血糖自己測定(SMBG)を行って血糖値を確認する必要があることを、改めて医療従事者から同製品を使用する患者さんにお伝えください」と強調している。

一般社団法人 日本糖尿病学会

公益社団法人 日本糖尿病協会

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「FreeStyleリブレセンサー」一部製品を自主回収 アボットジャパン (糖尿病リソースガイド)

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