【世界糖尿病デー】糖尿病患者の77%がメンタルヘルス不調を経験 燃え尽き症候群も 医療者向けウェビナーを開催 国際糖尿病連合
糖尿病による燃え尽き症候群を経験している患者は多い
糖尿病患者の77%は、糖尿病が原因で、不安やうつなどのメンタルヘルス不調を経験していることが、国際糖尿病連合(IDF)が実施した新たな世界調査で明らかになった。
「糖尿病が、必ずしもメンタルヘルスの問題を引き起こすわけではありませんが、今回の調査の参加者の79%は、精神的なストレスと糖尿病の日常的な管理の必要性に苦しめられた経験をもつことが示されました」と、国際糖尿病連合(IDF)の理事長でドイツのドレスデン大学病院の糖尿病予防・ケア教授であるPeter Schwarz氏は言う。
「糖尿病による燃え尽き症候群(バーンアウト)を経験している人も多くいます。驚くべきことに、バーンアウトの影響を受けた人の4人に3人は、糖尿病によるストレスやプレッシャーのために、糖尿病の治療を中止あるいは中断したことがあると答えています」。
世界では現在、5億人以上が糖尿病を発症し、2045年までに8人に1人が糖尿病に罹患すると推計されている。
この予想から考えると、今回の調査結果は、世界の糖尿病とともに生きる4億人以上が、毎日の糖尿病の管理の負担により、メンタルヘルス不調のリスクを負っていることになる。
患者の80%超は医療従事者からのサポートを求めている
「糖尿病は、身体および精神の両方の健康に影響を及ぼしていますが、医療機関で提供される糖尿病ケアは、血糖値の管理に焦点をあてることが多い現状があります。糖尿病の人の多くは糖尿病に圧倒されており、より良く糖尿病とともに生きるために、血糖値以外のことにも目を向ける必要があります」と、シュワルツ氏は指摘している。
この調査は、ブラジル、インド、インドネシア、パキスタン、南アフリカ、スペイン、米国の7ヵ国で、2024年9月にオンラインで実施され、1,880人が回答した。
インドでは、糖尿病とともに生きる人の86%が、糖尿病に関連したメンタルヘルス上の問題を抱えており、南アフリカでも同様の結果が示された。回答者の84%はメンタルヘルス不調を経験し、83%は医療従事者からのサポートを求めている。ブラジルでは、参加者の80%が、糖尿病によるストレスのために治療を中止または中断したことがあると回答した。
「医師の多くは、糖尿病の検査や治療、処方箋の発行など、日々の診療で手一杯であり、糖尿病患者のメンタルヘルスにまで注意を向ける余裕がない傾向がみられます」と、ボリビアで30年以上糖尿病医療に携わってきた糖尿病専門医であるダグラス ビジャロエル氏は言う。
「糖尿病のある人が診察のために医療機関を訪れたときは、患者としてだけでなく、1人の人間としてみることが必要です」としている。
世界糖尿病デー(World Diabetes Day)
Diabetes impacts the mental well-being of 3 in 4 people with the condition (国際糖尿病連合 2024年11月13日)