2型糖尿病の「オンライン食事指導」の効果を検証 対面指導に対して非劣性 ともにHbA1cが低下 徳島大学がRCTを実施
オンラインの食事指導は対面による食事指導に対し非劣勢
徳島大学は、オンラインの食事指導は、対面による食事指導に対し非劣勢であることを、2型糖尿病患者30人を対象としたランダム化比較試験(RCT)で確認したと発表した。
研究は、徳島大学 先端酵素学研究所 糖尿病臨床・研究開発センターの森博康氏、黒田暁生氏らによるもの。研究成果は、「Nutrients」に掲載された。
研究グループは、HbA1c 6.5〜9.5%の2型糖尿病患者30人を、食事療法をオンラインで指導する群と、対面で指導する群にランダムに割り当て、32週間の介入を行った。除外基準は、重篤な心血管疾患、腎機能低下、網膜症、過去3ヵ月のHbA1cの1%以上の悪化、過去2年以内に栄養指導を受けたこととした。
介入期間中に参加者は病院の管理栄養士から食事指導に関する4つのセッションを受けた。オンライン群はビデオ会議プラットフォームを介して遠隔指導を受け、対面群は印刷物ベースの教育資材を用いて対面で指導を受けた。栄養指導の内容は糖尿病治療ガイドラインに準拠し、行動変容ステージに即して個別化されていた。
主要評価項目はHbA1cの変化、副次的評価項目は体重、収縮期血圧(SBP)、拡張期血圧(DBP)、行動変化の段階、食事療法の遵守、総エネルギー摂取量、主要栄養素や塩分の摂取量とした。解析対象となったのは、オンライン群が13人、対面群が14人だった。
その結果、ベースラインから4回目の食事指導セッションの終了時のHbA1cの変化は、オンライン指導群で7.7±1.2%から7.3±1.1%、対面指導群で7.1±1.0%から6.8±0.8%と変化した(p=0.002)。
HbA1cの変化の群間差は-0.11[95%CI -0.54~0.32]となり、95%CIの上限値は0.32%で、事前に設定されていた非劣性マージン0.4%を下回り(p=0.011)、2型糖尿病患者の血糖管理で、オンラインによる食事指導は対面による食事指導に対し非劣勢であることが示された。
副次的評価項目も両群間で同等の効果がみられ、両群で体重、SBP、総エネルギー摂取量、炭水化物、塩分摂取量の平均値が有意に減少した(両群ともp<0.05)。さらに両群で、行動変容段階スコアが有意に改善した(両群ともp<0.05)。
なおオンライン指導では、管理栄養士がビデオ会議プラットフォームを介して遠隔指導を提供し、医療スタッフと参加者が、HbA1cに関する臨床情報や血糖・体重・血圧・食事記録などの自己モニタリング情報を共有した。
オンラインでは、ディスプレイの前にいる参加者を安心させるため、さまざまなコミュニケーション手法を導入し、管理栄養士がゆっくり、はっきりと、分かりやすく、参加者が理解できるように食事療法の重要なポイントを説明し、参加者の表情、感情、動作などの非言語コミュニケーションも重視した。参加者が自由に会話をできる自由形式の質問なども使用したという。
「今回の研究で、介入終了時にオンライン指導群と対面指導群の両方でHbA1cが低下し、2型糖尿病患者の血糖管理で、オンライン指導は対面指導に比べ劣らないことが示された」と、研究者は述べている。
徳島大学 先端酵素学研究所 糖尿病臨床・研究開発センター
Telenutrition Education Is Effective for Glycemic Management in People with Type 2 Diabetes Mellitus: A Non-Inferiority Randomized Controlled Trial in Japan (Nutrients 2024年1月16日)